HALS(ハルス)とは?使用した場合のメリット・デメリットを紹介
最終更新 : 2024.09.25
外壁塗装に使われる塗料は、年々進化してきました。
世の中の変化に合わせ、要求される性能がどんどんと増えてきたからです。
そのひとつに挙げられるのがHALS(ハルス)ですが、聞いたことはあるでしょうか?
おそらくほとんどの人は「何の事だろう」と思う言葉です。
外壁塗装に使われる塗料にとって大きな技術で、塗料の選択にも大事な要素となります。
外壁塗装には必ず塗り替えの時期がやってきますが、そのときにどのような塗料を選ぶかが重要です。
長期的なライフサイクルにも影響を与えるため、劣化に対してHALS(ハルス)とはどのようなものか覚えておくといいでしょう。
Contents
HALSとは?
HALS(ハルス)とは、ヒンダードアミン系光安定剤のことです。
外壁塗料に添加する薬剤のことを表しています。
このような薬剤を添加剤と呼びますが、塗料の耐候性を高めるために使われてきました。
酸化チタンは、紫外線のエネルギーを受けるとラジカルを発生させます。
このときに樹脂に影響を与えるわけですが、発生したラジカルを補足してしまうのがHALS(ハルス)の役割です。
もう少し分かりやすくしましょう。人間の体に例えると、紫外線によってダメージを受け、ラジカルと呼ばれる病気を発生させるとします。
この病気をHALS(ハルス)という薬で押さえつけて広がらないようにします。これが外壁塗装の中で起こっているのです。
つまり、外で建物を守る外壁塗装は、紫外線を避けることはできません。
それならば、ラジカルという影響をHALS(ハルス)によって捉えて抑えてしまおうという考え方です。
HALS(ハルス)は紫外線を吸収するわけではないので、UV耐性との大きく違います。
HALS(ハルス)の大きな特徴として、継続的に酸化チタンを捉える働きを繰り返します。
実はまだ研究途上の部分もあり、さまざまな議論がありますが、HALS(ハルス)はナノ秒単位でサイクルを繰り返しているのです。
それも限りなく繰り返していくのですから、効果の高さがうかがえます。
関連記事:こんな症状が出たら要チェック!チョーキング現象とはどんなことか徹底解説
外壁塗装の劣化の原因
外壁塗装は、建物の保護と美観の維持を担っていますが、時間が経つにつれて劣化していきます。
劣化の原因は、外的な環境要因と使用される材料自体の特性に起因するのです。
ここでは、外壁塗装の劣化の主な原因について説明します。
環境要因による劣化
外壁塗装は、さまざまな環境要因によって劣化します。
自然の影響は避けられないため、これらの要因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
紫外線の影響
外壁は常に日光にさらされており、特に紫外線が塗膜にダメージを与えます。
長時間にわたり紫外線を浴びると、塗膜が劣化し、色あせやひび割れが生じます。
南向きの壁や日差しの強い地域では特に影響が顕著です。
降雨と湿気
雨や湿気は、外壁の劣化を加速させる主な要因の一つです。
水分が塗膜に浸透すると、塗装が剥がれたり、内部にカビや藻が発生することがあります。
湿気が多い地域では、特に防水性の高い塗料が推奨されます。
風と砂埃
強風や砂埃が外壁に当たると、物理的な摩耗が発生します。
塗膜が擦り減ることで、塗装の劣化が進行します。
特に海沿いや砂漠地帯では、風による劣化が大きな問題となります。
雪と寒暖差
雪が積もる地域では、雪解け水が塗膜に浸透しやすく、これが劣化を引き起こします。
さらに、寒暖差が大きいと、塗膜が収縮・膨張を繰り返し、ひび割れが生じやすくなります。
材料劣化のメカニズム
外壁塗装に使用される材料自体も劣化の原因となります。
塗料の種類や塗装技術が、外壁の寿命を左右します。
塗料の特性
塗料の種類によって劣化のスピードが異なります。
例えば、アクリル系塗料は安価ですが耐久性が低く、数年で劣化が目立つようになります。
一方、シリコン系やフッ素系塗料は高価ですが、耐久性が高く、劣化の進行が遅いです。
適切な塗料を選ぶことで、塗装の寿命を延ばすことができます。
塗膜の厚さ
塗膜が薄すぎると、外的要因に対する保護能力が低下し、劣化が進行しやすくなります。
逆に、適切な厚さの塗膜は外部のダメージから建物を守り、長持ちさせることができます。
施工技術の影響
塗装の施工が適切に行われない場合、塗膜が均一に形成されず、ムラが生じることがあります。
このようなムラがあると、部分的に劣化が早まり、全体の耐久性が低下する可能性があります。
経験豊富な施工業者を選ぶことが大切です。
外壁塗装の劣化を最小限に抑えるためには、環境要因に適した塗料を選び、適切な施工を行うことが重要です。
HALSを使った塗料のメリット
外壁塗料にHALS(ハルス)が配合されている場合、さまざまなメリットを発揮します。
未添加の塗料に比べて、ハイレベルの性能を発揮するのです。
チョーキング現象対策
紫外線を浴びると、塗膜内で劣化が進みチョーキング現象を引き起こすことがわかっています。
チョーキング現象は樹脂の劣化を示すサインであり、外壁塗装の寿命を示すことでも知られている状態です。
HALS(ハルス)配合の塗料の強みとして、ラジカルを抑制するため、チョーキング現象が現れにくくなります。
それだけ外壁塗装の ライフサイクルを大きく伸ばせることがメリットです。
光沢が持続しやすい
HALS(ハルス)配合の塗料の特徴として、光沢の持続が挙げられます。
これはHALS(ハルス)を添加剤として使用した場合の特徴のひとつで、美しい光沢を長持ちさせられるのです。
汚れにくく防カビ性に優れる
樹脂の劣化に目がいきがちなHALS(ハルス)配合ですが、紫外線を寄せ付けないわけではありません。
紫外線には抗菌作用があり、カビなどの原因物質も分解できます。
HALS(ハルス)配合の塗料の場合には、紫外線の効果も加わり防カビ性や防藻性に優れており、長期間美しい景観を保ちやすいところが特徴です。
配合する相手の特性を受け継ぐ
HALS(ハルス)は添加剤であることから、元になった外壁塗料の特性を受け継ぎます。
対応する塗料には必ず特性がありますが、HALS(ハルス)は、添加剤として特性を壊すような部分がほとんどありません。
これも改良されてきた結果ですが、HALS(ハルス)を配合してもデメリットがほとんどないのです。
ただし、配合の仕方によっては、黄色に変化する場合があります。化学変化の結果ですが、こうした反応を抑制しているものも販売されるようになりました。
添加剤として手に入れられるなら自分で配合もできますが、HALS(ハルス)製品として販売されている塗料を使えば問題ありません。
高いレベルの塗装技術を持った業者に依頼することも必要です。
HALSを使った塗料のデメリット
HALS(ハルス)配合塗料は、大きなメリットを生み出します。しかし、全く問題がなくなるわけではありません。
だからこそ、HALS(ハルス)の性能を正しく理解しておく必要があるでしょう。
酸化チタンの影響
HALS(ハルス)を配合した場合、酸化チタンに対する影響が重要です。
酸化チタンは白色顔料で色を淡くするために調整用に使われます。外壁塗装で淡い色を出そうと思えば必ず使われている添加剤です。
この特性からもわかるように、淡い色の反対として濃い色になれば、酸化チタンは必要がありません。
濃い色の外壁塗料では、酸化チタン自体が存在しなくなることからも、HALS(ハルス)はあまり効果を発揮しない可能性が出てきます。
実績が少ない
HALS(ハルス)は、技術的にも高いレベルの配合剤です、これまで使ったことがない塗装業者も多く、塗料としての実績も少ないケースが考えられます。
シンニッケンの場合にはこれまで多数の実績を積んできました。これはHALS(ハルス)配合塗料でも変わりません。
自社で高い性能を持った塗料を開発し、成功を繰り返してきたため他社と比較しても非常に多くの実績を持っています。
HALSを使用した外壁塗装の効果を長持ちさせるためのポイント
HALS(Hindered Amine Light Stabilizers)は、紫外線による塗膜の劣化を抑えることで、外壁塗装の耐久性を大幅に向上させる特性を持っています。
特性を十分に引き出すためには、定期的なメンテナンスと早期の劣化発見・対処が重要です。
ここでは、HALSを使用した外壁塗装をさらに長持ちさせるためのポイントについて解説します。
定期的なメンテナンス
HALSを使用している塗装であっても、メンテナンスは欠かせません。
塗膜の劣化を防ぎ、塗装の効果を長持ちさせるためには、定期的な点検や清掃が必要です。
清掃の重要性
HALSを含む塗料は、チョーキング現象が発生しにくいという利点がありますが、外壁に付着した汚れは放置すると、他の劣化の原因となる可能性があります。
特に、ホコリや汚れが溜まると、カビや苔が発生しやすくなるため、年に一度の清掃が推奨されます。
防水機能の維持
外壁塗装には防水性能も重要です。
HALSを使用した塗料は紫外線に強いですが、ひび割れや剥がれが発生すると防水機能が低下することがあります。
こうした場合、早急に補修を行うことで、塗膜の防水性能を維持し、内部への水分の侵入を防ぎます。
劣化の早期発見と対処方法
HALSを使用した塗装は、耐久性が高く劣化が進行しにくいという特徴がありますが、初期段階での劣化を発見し適切に対処することで、さらなる効果が期待できます。
定期的なメンテナンスを行い、劣化を早期に発見できるようにしておきましょう。
HALSを使用した外壁塗装ならシンニッケンにお任せ!
HALS(Hindered Amine Light Stabilizers)は、紫外線による塗膜の劣化を抑え、チョーキング現象が発生しにくいなどのメリットがあります。
さらに、HALSを使用することで光沢の持続や防汚性・防カビ性の向上といった追加の効果も期待でき、外壁塗装の美観と機能を長期間にわたって保つことが可能です。
シンニッケンでは、HALSを活用した塗装を提供しており、お客様の外壁を美しく長持ちさせるための最適なソリューションを提案しています。
専門的な知識を持つ職人が丁寧に施工を行い、長期的な外壁保護を実現します。
ぜひシンニッケンにお任せください。
まとめ
HALS(ハルス)配合塗料は、まだまだ新しい技術です。
どうして永続的にナノ秒単位という高速でラジカルを捉えるか、はっきりしていない部分もあります。
研究途上であるがゆえに、外壁塗装として利用する場合に知識と経験が欠かせません。
どのように扱うのかによって、仕上がりにも大きな影響を与えるからです。
シンニッケンは、自社で開発した塗料があります。HALS(ハルス)を配合した塗料も開発し施工してきました。
他社の製品を使い、製品だけではなく、配合成分を理解していないのとは違います。
性能を発揮させるためにはどのような施工にすればいいかもよくわかっているのです。
外壁塗装の塗り替えには、お金がかかります。建物を守るためには、いずれ塗り替えなければいけません。
だからこそ、ライフサイクルを伸ばし、費用対効果にも優れる塗料を持って施工できる業者の選定が大事になるのを忘れないようにしましょう。