外壁塗装の臭いはどこから発生?有機溶剤?臭いの発生原因と対策について解説
最終更新 : 2024.10.02
外壁塗装というと、工事中に臭いがあると思っていませんか?工事をしているときには、なにかしらの臭いがしたりするものです。これはそれぞれ原因があります。
大事なポイントは、外壁塗装で臭いが発生する理由にあります。臭いの正体と問題点を理解すると、対策も見えてきます。
きれいに仕上げて建物を守るための外壁塗装なのですから、気持ちよく工事も終わらせたいでしょう。
知識を身に着けておくことが、周辺のお宅への配慮やトラブル防止にもなるのです。
私たちの生活環境のなかには、外壁塗料を含めさまざまな化学物質が使われています。その化学物質がどのようなものか、臭いの原因がなにをもたらすかを理解することが大切です。
今回は基本的なところからスタートしていきますので、塗料の中身も含めて覚えてみてはいかがでしょうか。
外壁塗装の臭いの原因とはなにか
外壁塗装のときになぜ臭いがするのでしょうか。この臭いの正体がわかれば、問題点が見えてきます。
外壁塗装に使われる塗料と成分
外壁塗装に使われる塗料とはなんでしょうか?まずは塗料の成分から見ていきましょう。
塗料とは、流動性があって、乾燥したら薄い膜になって固まる建材のことです。
これが定義ですが、これだけ聞いてもよくわからないですよね。
まずは成分としては4つのものが含まれています。
- 顔料
- 樹脂
- 添加物
- 溶剤
この4つが主たる成分です。塗料にもたくさん種類がありますが、基本的な構成は変わりません。
この成分のうち、臭いのもとになるものがポイントです。
実はすべての成分になんらかの臭いがありまず。工業製品としても、この感覚に違いはありません。
ですが、樹脂や溶剤、添加剤は種類によって強い臭いを放ちます。
その原因になるのは、樹脂と有機溶剤の2つなのです。
有機溶剤と臭いのメカニズム
接着剤を使うとき、臭いを感じることがありませんか?この臭いのもとは、樹脂と溶剤です。
樹脂はそのままでは使いにくいことから、溶剤を使って柔らかくして固まる時間のコントロールもしなければいけません。
この溶剤のなかでも有機溶剤と呼ばれるものがあります。
有機溶剤として有名なのは、イソプロプルアルコール、ブタノール、メタノール、キシレンです。
これらをシンナーとも呼び、健康に大きな影響を与えるのは周知の事実ですが、油性塗料には必要不可欠な存在ともいえます。
もうひとつ臭いのもとになるのが樹脂です。
塗料の素材構成のメインといえますが、外壁塗装の薄い膜を作り出す樹脂は化学合成で作られます。
この樹脂は化学反応によって硬化しますが、このときにも臭いが出るのです。
学生時代に科学実験をしたことはありませんか?
無臭のものもありますが、熱とともにガスを発生させるものも多いですよね。それと変わりません。
ただし、外壁塗装としてみると、臭いの大半は溶剤です。
特に有機溶剤となる点に注目していきましょう。
外壁塗装の塗料:油性
外壁塗装に使う塗料には、油性と水性があります。
油性塗料には有機溶剤を必要とするのが特徴です。
油性塗料の特徴は、低温状態に強く、乾燥をコントロールしやすい点にあります。
油でできているため凍結しにくく、低温でも揮発性が高いことで硬化しやすいことから、寒冷地で使用されることが多い塗料です。
さらに有機溶剤のシンナーを使っているため、金属に対して錆びにくくなるというのもメリットになるでしょう。
問題は臭いです。有機溶剤としてシンナーを使っており、樹脂とともに独特の強い刺激臭がします。
これは構造上避けられない部分で、施工者は特に影響を受けました。
作業中に使用者がシンナーを大量に吸い込むことは、健康上も大きな問題です。
マスクをしても一定量は皮膚から吸い込むことになるため、水性塗料に主流が変わっていきました。
外壁塗装の塗料:水性
水性塗料は溶剤に水を使っています。
そのため、油性塗料よりも低温下に弱いという欠点を持ちますが、性能的に進化してそこまで違いがなくなってきました。
臭いの面ではシンナーを含まないため、安全性が高い塗料です。
それでも臭いが全くないわけではありません。
化学薬品であることに変わりはなく、化学変化を生じるときにも臭いが出ます。
これがVOCという問題です。
シンナーとVOCの影響
塗料には溶剤が必要なわけですが、シンナーや化学変化で生じるVOCはどのような影響を与えるのかということに注目しましょう。
ただ臭うというだけではなく、どんな影響があるか知らないと、問題点が見えてこないからです。
シンナーが体に与える影響はよく知られています。
中枢神経が抑制されて、まるでお酒に酔ったような状態になるのです。
やがて幻覚や妄想など神経障害まで引き起こし、心臓や肝臓、腎臓、呼吸器系にも障害が残る可能性が出てくるのです。
それだけ身体に与えるダメージの大きな物質と考えなければいけません。
臭うだけではなく、危険性があるという点でも、注意しなければいけないでしょう。
もちろん、少々臭ったとしても、いきなりこのような効果が表れるというわけではありません。
しっかりとした対応をすれば、ほとんどの場合、中毒を防げます。
危険なのは、知識がないまま乱用するということです。
VOCとは、Volatile Organic Compoundsの略です。揮発性化学物質といいます。
ハウスシック症候群という言葉が知られるようになりましたが、その原因となる代表的な物質といってもいいでしょう。
大気汚染にもつながることで注目されました。社会的に規制もかけられるようになり、各方面で削減が進んでいます。
このVOCは、揮発性ということで有機溶剤のほうに含まれていると思うかもしれません。
しかし、水性塗料にも油性の1/20程度と少量ですが含まれています。
研究が進み、かなり削減されていますが、ゼロではない点に注意が必要です。
実はこのVOC、塗料が乾けば出てこなくなるわけではありません。
大体施工から3~5年の間、発生し続けるのです。
そのため、できるだけ発生しない塗料の開発が進んでいます。
もうひとつ注意しなければいけないのは、ゼロVOCとうたっていても、臭いがないわけでも有害物質がないわけでもありません。
VOC以外の物質も含まれている可能性があるからです。
特に顔料や樹脂にもVOCや有害物質は含まれている可能性があります。施工後も換気に注意しなければいけません。
関連記事:外壁塗装の種類とは?あなたに合った塗装をプロが解説
外壁塗装の臭いの影響
臭いのもとが見えてきたところで、人体に対する影響も知るべきです。
人体の影響といっても、大人が吸い込むのと子どもでは違います。
感じ方の違いや、ペットの影響も考えてみましょう。
外壁塗装の臭いが人体に及ぼす影響
塗料を使う外壁塗装会社として包み隠さず伝えなければいけない点です。
臭いのもととなるシンナーやVOCは、社会的に規制されているように人体に影響があります。
健康被害として、軽度の吐き気から始まり、幻覚や睡眠障害などを起こす可能性があるからです。
頭痛もそのひとつですし、月経不順につながる可能性も指摘されています。ほかにも鼻の不快感も挙げられます。
大事なことはこのような影響を及ぼすことを理解したうえで、症状が出ない状況を作って対策を施すことです。
実際に自分の家だけが影響を受けるわけではありません。
近隣の家から漂ってくる臭いもありますし、VOCのように知らないうちに吸い込む可能性すらあるからです。
感受性の違い
臭いと体の影響は、すべての人に同じように現れるとは限りません。臭いも人によって感じ方がそれぞれ違います。
たとえば好きなにおいがあったりします。臭いとは書かずに、いい匂いとなるでしょう。
この匂いは人によっては臭いになります。必ず好き嫌いがあるからです。
これが感じ方の違いといえます。このような違いを感受性と呼ぶわけです。
感受性は人それぞれですが、一般的に60歳あたりを境に鈍化すると考えられています。
この感受性は、嗅覚の器官だけではなく、小さいころからの記憶や経験にも影響される部分です。
つまり、思考や識別などにも影響されるため、人によって全く違います。
そうなると、シンナーなどの有機溶剤の臭いも、嫌だという人もいればさほど気にならないという人も出てくるでしょう。
ですが、人体に対する影響と感受性は違います。嫌だと思っていなくても、影響を受けているからです。
赤ちゃんやペットへの影響
家庭環境の点では、赤ちゃんやペットもシンナーなどの影響を受ける可能性が出てきます。
妊婦さんも含めて影響を重視しないといけません。
結論からいえば、赤ちゃんの影響はゼロにはできません。赤ちゃんは大人よりも敏感です。
さらに異常があることを伝えられません。泣いて教えてくるかもしれませんが、はっきりとわからないからです。
もしかしたら、気が付いていないアレルギー反応が出ているかもしれません。
そのような可能性がある以上、作業中はできるだけ吸い込まない配慮が必要です。
ペットに対する影響も赤ちゃんに近いものがあるでしょう。問題を正確に伝えてくれるわけではありませんし、人間と同じような反応が出てくる可能性があります。
さらに人とペットの位置の違いも考慮しなければいけません。
人間よりも床に近い位置にいるペットたちは、臭いを避けようと移動できる範囲は限られています。
どうしても吸い込む可能性が出てくるときは、徹底的な換気を施すか、外に連れ出す必要も出てくるのです。
ペットホテルを利用する方法や、だれかに預かってもらう選択も考えなければなりません。
外壁塗装の臭い対策
外壁塗装の施工中には、臭い対策を取ることが大切です。
たとえば外出していても、帰ってくれば臭いがするかもしれませんよね。
そのときにどうするか、心当たりがない臭いがしてきたときの対策も覚えておくことが大切です。
マスクの使用
臭い対策として簡単なのがマスクです。といっても、どれでもいいわけではありません。
臭いを吸着するようなタイプのマスクなら、手軽に使えて対策になりやすいものがおすすめです。
ほかにも活性炭入りなどが有効とされてきました。
本格的なマスクといえば、化学物質を吸着する防毒マスクがあります。
ですが、外壁塗装している室内で必要なのかといえば、そこまでではないでしょう。
実際に室内で臭いを気にしなければいけないのは数日。ほかの対策もあることから、かなり高額な防毒マスクを使うほどではありません。
空気清浄機は効果あるか
空気清浄機を使うと、臭いの物質を吸着してくれるのではないかと思いますよね。
ですが、使ってみるとあまり効果がありません。
空気清浄機の機能は、空気を吸い込み、フィルターで浮遊物質を除去してきれいにするというのが一般的な流れです。
この方法だと、化学物質で非常に小さい塗料の臭いは除去できません。
ただし、新型コロナウイルスの蔓延以降、化学物質も除去するようなタイプも出てきました。
部屋の臭いまで抑えるタイプであれば、一定の効果を上げるかもしれません。
意外と使える消臭剤
消臭剤にもいろいろとありますが、臭い物質を吸着するタイプは効果を上げるとされてきました。
特にフィトンチッド系は空気を浄化しやすいことから、外壁塗装中の室内にもぴったりです。
もっと科学的にVOC対応の消臭剤もあります。
このような消臭剤を用意しておくと、出かけた後に部屋に戻ってきても安心でしょう。
お子さんやペットがいる場合も、用意しておくといい対策です。
関連記事:外壁塗装に適した季節はいつ?塗料との関係を考えてみよう
換気の重要性
外壁塗装の臭いが外から入ってくるなら、それを換気して出してしまえばいいというのも道理です。
入ってきた臭いを排出する方法はいろいろとありますが、外壁塗装している方向とは逆の位置にある窓を開けて、扇風機などを回して排気させる方法は有効です。
空気に流れを作ることで、臭いはかなり抑えられます。
臭いがしたとしても、充満させないためにも重要です。
臭いの流れを遮断する
根本的な部分ですが、臭いが入ってこなければ抑えられますし、心配もいりません。ではどこから臭いが入ってくるでしょう。
まず塗装面は養生しているはずです。目地になるようなところもテープを貼って臭いが入りにくくしているでしょう。
絶対に入らないわけではありませんが、かなりシャットアウトしているはずです。
ですが、換気扇はどうでしょうか?ちゃんとふさいでいますか?
よく見ると外気が入るようになってますよね。ここから臭いも入るのです。
こうしたポイントはいくつもあります。
お風呂場の換気扇を止めていると、流れ込んでくることもあるでしょう。
ほんのわずかな隙間も臭いは通り抜けてくるのです。
しっかりした塗装会社は、どこから臭いが入るか知っています。
どうしたらいいか聞いてみるだけで、室内から対策もできるのです。
外壁塗装する場合には、シンニッケンにお問い合わせください。
できる限り臭いが入り込まないような対策法もお教えします!
水性塗料の選択
水性塗料は有機溶剤の代わりに水を使った塗料です。
乾燥時間は油性に劣りますが、仕上がりに違いはなくなりました。臭いもほとんどしないタイプがあり、安全な環境を作り出せます。
もちろん、VOCの問題もありますが、シンニッケンでも環境に配慮した塗料をラインナップしており、心配な部分をできるだけ排除した仕様です。
臭いもほとんどなく、外部からの養生で多くの臭いを排除できるようになりました。
外壁塗装での養生での臭い対策
外壁塗装で大切なことは養生です。
この養生がしっかりできるところは仕事の仕上がりもきれいというのは間違いありません。それほど重要なポイントです。
養生を確実にしておくと、臭いが侵入しにくくなります。
もちろん、臭いは目に見えないものなので、100%にはならないかもしれません。
ですが、100%を目指すのが養生です。つまり、技量の高い施工会社ほど臭いの問題は気にならないということになるでしょう。
もちろん、作業中に窓を開けるなどすれば、臭いは侵入します。
それでも、作業していることを正確に伝え、このような行き違いにならないようにするのも施工会社の役割です。
近年の油性塗料の変化とその影響
外壁塗装は、油性塗料から水性塗料に変わってきました。
実際に施工に使われる塗料の大半は水性塗料です。
施工条件からどうしても油性を選択するケースがありますが、ほぼ水性塗料に置き換えられています。
この変化は、臭いを含めさまざまな理由がありました。
安全性の確保の流れ
現在の外壁塗装の主流は水性塗料となりました。なぜだと思いますか?
臭いの有害物質を最初に浴びるのは、工事をしている職人である作業員です。
油性塗料が主流だった時代は、どうしてもシンナーなどの有機溶剤で健康に影響を及ぼす人が増えました。
これは外壁塗装だけではありません。樹脂工事などシンナーを使うさまざまな分野で問題になったのです。
もちろん、有機溶剤を安全に使うための知識や資格を持った指揮者や作業員を配置しなければいけなくもなりました。
それでも、ダメージは大きく、長年吸収したことで作業できなくなる人さえ出てきたのです。
職人を育てるためには、とても長い時間がかかります。数年でベテランになるわけではありません。
少子化のなか、ベテランの職人も数少なくなりました。そうなると、ベテランがドロップアウトするような状況を変えていかなければいけません。
では、どうしたらいいのか。答えとしては健康に影響を与えるような塗料をやめ、安全に作業できるようにしたのです。
これは安全面にもいえることです。危険な作業にならないよう、足場も進化してきましたし、検査厳密になりました。
シンニッケンも事故が起こらないよう、厳しく点検を実施しています。
塗料に関しては、水性塗料を使うようになりました。
水性塗料は乾燥の面では油性に劣りますが、安全性の高さは段違いです。
臭いも少ないですし、溶剤も水で済むため有機溶剤を必要としません。
作業員の安全性を確保するとともに、室内への影響も最小限に抑えられるようになったのです。
近隣への配慮と対応
外壁塗装は、多かれ少なかれ、臭いや音が出ます。
工事しているというだけで日常とは違う状況が生まれるのです。施主となる家は発注者として理解できますが、近隣のお宅は違います。
ひどい言い方をすれば、他人の家が外壁塗装しており、その影響を受ける立場です。
ここにトラブルの原因が隠れています。
近隣への配慮として、養生をしっかりすることがあげられます。
防風ネットをかけて作業するだけで、臭いが流れていく量を減らせるでしょう。ほんの少しの配慮が臭いのトラブルを減らすのです。
近隣住民への影響
トラブルにならないために大事なことは、事前に外壁塗装工事をする旨をお知らせしておくことです。
こう考えてみてください。もしも、知らない間に工事が始まり、臭いが充満したらどうでしょうか。
小さな子供もおり、ペットもいるとします。それなのに、シンナーの臭いが充満し、耐えられないような状況になったらどうでしょうか。
対策になるような用意もしていません。そりゃ怒りますよね。
事前に知っていたら対策をしますよね。
出かけるというのもありますし、マスクを用意するといったこともできるでしょう。窓を開けない、洗濯ものも中に入れるといったこともできるはずです。
臭いというだけでも、生活に大きな影響を与えます。
ほんの少しの配慮が違いを生み出すことを忘れないでください。
臭いトラブルを避けるための配慮
配慮として大事なことは、臭いがするかもしれないという意識を持ってもらうことです。
風向きによっても違うかもしれません。ですが、可能性があることを話しておくだけで、心理としても違うでしょう。
事前対応に違いが出ます。臭いは生活に大きな影響を与える要因になるので、理解してもらうだけで、感情にも差が出るのです。
「外壁工事するっていってたよね」
この記憶があるだけで、トラブルは未然に防げます。もちろん、想定以上の臭いにならないようにすることは大前提です。
まとめ
臭いは目に見えません。それゆえに、不意を突かれるような状況が起こります。
外壁塗装の塗料の臭いは、ある程度想像しているかもしれません。
しかし、その想像を超える状況になる可能性もあるのです。
大事なことは、臭いの対策と養生にあります。
この2つは、施工会社の質が高ければ対応のレベルも上がるものです。特に養生の面は、やって当然、できないのはレベルが低い証拠といってもいいでしょう。
シンニッケンは、これまで培った技術で最善の方法をとります。
臭いはすべて防げるものではありません。塗料もしかりです。
そのなかでも健康に配慮し、臭いも少ない塗料を開発してきました。
養生の必要性、周囲への配慮も熟知しておりますので、外壁塗装の臭いが気になるかたは、一度ご相談ください。
きっと安心できるお答えをお返しできますよ。