スレート屋根とガルバリウム鋼板屋根の違いや、比較についてわかりやすく解説
最終更新 : 2024.10.25
屋根材にはさまざまなものがあり、「スレート」や「ガルバリウム鋼板」といったものもそのうちのひとつ。
マイホームの購入や、屋根の葺き替えをご検討されている方にとって、屋根材の特徴の違いというのは知っておきたいポイントではないでしょうか?
本記事では、主に「スレート」と「ガルバリウム鋼板」の屋根材としての違いをわかりやすく解説し、メリットやデメリットを比較していきます。
上記以外のおすすめの屋根材も紹介するので、屋根材について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
スレートとは?
スレートは日本で多くの住宅に使用されている屋根材であり、大きく分けて「天然スレート」と「化粧スレート」の2種類があります。
まずはスレート屋根の特徴からを見ていきましょう。
天然スレートと化粧スレートの違い
天然スレートは、天然の岩石(粘板岩)を薄く板状に加工した屋根材で、耐久性が高く、割れない限り使い続けられるのが魅力です。
一方の化粧スレートはセメントを主成分として人工的に作られたもので、日本の住宅における「スレート屋根」はこちらを指す場合がほとんどです。
スレート屋根の特徴
前述したとおり屋根材に使われているのは主に化粧スレートの方で、下記のような特徴があります。
- 非常に薄く軽量である
- 比較的安価である
- デザインのバリエーションが豊富
軽量かつ安価という部分がポイントで、流通という意味でも実際の作業においても扱いやすいため重宝されています。
また、扱いやすいことからデザインのバリエーションが豊富なことも人気の理由といえるでしょう。
スレート屋根の注意点
薄く軽量であることは扱いやすさに寄与している一方、割れやすさと背中合わせであるという点には注意しなければなりません。
また、防水性もそこまで高くないため、経年劣化により表面の塗装が剥がれ落ちると雨水が浸透しやすくなり、さらに屋根の劣化が早まります。
そのため、再塗装などの定期的なメンテナンスが必須となるでしょう。
関連記事:スレート屋根はこれを読めばわかる!寿命にかかわる構造と補修まで
ガルバリウム鋼板とは?
「ガルバリウム」というのは、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン(ケイ素)1.6%を合成した特殊合金のこと。
冒頭でも触れたとおりの扱いやすさが特徴で、屋根をはじめ主に建築用素材として重宝されています。
葺き方は全部で4種類
ガルバリウム鋼板の屋根の葺き方は全部で下記の4種類です。
- 縦葺き
- 横葺き
- 平葺き
- 瓦棒葺き
主に用いられるのは縦葺きと横葺きの2種類であり、勾配を付けやすい縦葺きは雨や雪などが多い地域でよく使われますが、横風にはあまり強くないのが特徴です。
横葺きは風に強く耐震性にも優れます。一方で多くの場合継ぎ目の範囲が多くなり、若干雨漏りなどの心配がある点がネックといえます。
ガルバリウム鋼板の特徴
ガルバリウム鋼板は、特殊合金であるがゆえの特徴を持っています。具体的には下記のとおりです。
- 耐久性に優れる
- 耐熱性・防水性が高い
- リサイクルが可能
ガルバリウムは特に錆に対して強く、これが耐久性の高さに起因しています。
また、熱に強く高温下でも簡単には変形や変性を起こしません。水分をほとんど吸収しないため、防水性にも優れています。
耐用年数が長いため、使用されていた期間中に変性を起こさなければ、一度使用したものをリサイクルできるのもガルバリウム鋼板のメリットといえるでしょう。
ガルバリウム鋼板の注意点
注意しなければならないのは、断熱性や遮音性には期待できない点。
ガルバリウム自体は高温に熱されても変性しにくいですが、これは熱を通さないという意味ではありません。
また、非常に薄い金属板であるため、遮音性もそこまで高いわけではないということも覚えておきましょう。
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スレート屋根とガルバリウム鋼板屋根を比較
スレート屋根とガルバリウム鋼板屋根の特徴を比較したものを表にまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
スレート | ガルバリウム | |
重量 | 軽量 | 非常に軽量 |
加工のしやすさ | 加工しやすい | 加工しやすい |
耐震性 | 高い | 非常に高い |
防水性 | 定期的な塗装が必須 | 高い |
防汚性 | 苔やカビが生えやすい | 高い |
耐錆性 | 錆びない | 非常に高い |
耐熱性 | 普通 | 高い |
遮音性 | 普通 | 低い |
耐用年数 | 15~20年 | 30~40年 |
メンテナンス | 7~10年ごと | 15~20年ごと |
価格 | 安価 | やや高価 |
上記を簡単にまとめると、耐久性の面では特殊合金であるガルバリウムに軍配が上がりますが、スレートの方は安価であり、また、錆びなどの金属特有のデメリットが関係ない点は強みといえるでしょう。
スレートとガルバリウム|結局どっちがいいの?
結論からいうと、スレートとガルバリウムのどちらがおすすめということは一概に言えません。
各家庭のニーズやその時の状況次第でどちらが適切かは変わります。
ここでは、どのような状況でどちらを選んだら良いかを解説します。
耐用年数とメンテナンス
スレートの耐用年数は約15年ほどとなっており、7~10年ごとにメンテナンスの時期がやってきます。
一方のガルバリウム鋼板は耐久性の高さから20年ほどメンテナンスが不要な場合も。
耐用年数やメンテナンスにのみフォーカスするならガルバリウム鋼板がおすすめといえるでしょう。
重量と耐震性
スレートは非常に軽量であることで知られますが、ガルバリウム鋼板はさらに軽く、耐震性にも優れます。
地震のリスクのある土地では、ガルバリウム鋼板が有利といえます。
デザインと美観
スレートはカラーバリエーションやデザインが豊富であり、洋風和風など問わず、好みに合わせた選択ができるのがポイント。
一方のガルバリウム鋼板はシンプルでモダンなデザインが特徴ですが、よく言えば無機質でスタイリッシュ、悪く言えば無骨な雰囲気となる点は好みが分かれそうです。
使用環境
スレートは金属はないため錆や化学変化などの影響を受けませんが、カビや苔が発生するため、特に湿気の多い地域では美観を維持するためにも定期的なメンテナンスが必要となります。
ガルバリウム鋼板は金属でありながら錆びにくい特徴を持ちますが、塩害などで錆が加速する可能性は大いにあり、沿岸部などではその恩恵を受けづらいこともあるでしょう。
その地域の気候や地理的な条件まで加味して選ぶことが重要です。知識がなく不安な場合は、屋根のプロである塗装業者や葺き替え業者に相談してみるのも良いでしょう。
価格
メンテナンスの話と一部重複しますが、スレートは初期費用が安価で長期的にはメンテナンスコストがかかり、ガルバリウム鋼板は初期費用が高くつく代わりにメンテナンスコストを抑えられます。
初期費用はガルバリウム鋼板がスレート屋根に比べて約1.5倍高い相場となっており、メンテナンス費用は耐久性が高い分、ガルバリウム鋼板はスレートの半額程度で済む場合があります。
スレート屋根
- 初期費用: 600,000円(100㎡の場合)
- メンテナンス費用: 600,000円(10年ごとにメンテナンスを3回実施)
- 総費用(30年): 1,200,000円
ガルバリウム鋼板屋根
- 初期費用: 900,000円(100㎡の場合)
- メンテナンス費用: 300,000円(15年ごとにメンテナンスを2回実施)
- 総費用(30年): 1,200,000円
築30年を迎えるスレート屋根とガルバリウム鋼板屋根の住宅を想定して初期費用とメンテナンス費用まですべて含めた試算をしてみたところ、最終的な費用は大きく変わらないといった結果が出ました。
実際にはスレート屋根で10年、ガルバリウム鋼板屋根で15年というちょうど区切りの良いタイミングでメンテナンスを行うことはほとんどないと思われますが、あくまで参考としてご覧ください。
スレートとガルバリウム鋼板以外の屋根材について
日本の住宅に用いられている屋根材は、何もスレートとガルバリウムだけではありません。
ここでは、その他の屋根材についても見ていきましょう。
瓦屋根
瓦と一括りにしていますが、粘土瓦、セメント瓦、金属瓦といった種類に分けられます。
耐久性が非常に高く、風雨や火災に強いため、古くから日本家屋の屋根材として用いられてきました。
丈夫なためメンテナンスが少なくて済むのも魅力で、寿命は50年以上ともされています。
ただし、かなりの重量があり、地震大国である日本ではそれがネックとされるため、スレートやガルバリウム鋼板といった軽量の屋根材に取って代わられつつあります。
アスファルトシングル
アスファルトを使った軽量かつ柔軟な屋根材です。色やデザインが豊富であり、柔らかいため加工が利きやすく、どんな形状の屋根にも合わせられるのが魅力。価格も比較的安価です。
しかし、紫外線や風雨による劣化には弱く、頻回なメンテナンスが必要となることがネックといえるでしょう。
トタン屋根
昔ながらの薄い金属製の屋根材で非常に軽量です。安価で加工がしやすく、最も完成までが早い屋根材であるのが長所。
しかし錆びやすく耐用年数がきわめて短いため、現在の住宅ではあまり採用される機会がありません。
FRP(繊維強化プラスチック)屋根
非常に軽量かつ対候性に優れ、錆びないのが特徴です。透明や半透明のものもあり、光を通す場所に適しています。
物理的な耐久性や強度は金属製品に劣るため、強風などで損傷しやすいのはデメリットといえるでしょう。
ガラス瓦
太陽光を透過させる屋根材で、光を取り込む機能があります。デザイン性が高く、屋根全体というよりは一部に使われることがほとんどです。
加工が難しくあまりメジャーでないため流通量も少なく、コストは割高です。ガラスであるため耐久性の面でも瓦や金属類に劣ります。
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まとめ
スレート屋根とガルバリウム鋼板屋根を比較しました。
古くからある住宅も多いため数だけで見ると瓦が多いですが、2000年代以降に建った家はスレートとガルバリウム鋼板のトップ2ともいわれます。
本記事ではさまざまな屋根材について言及しましたが、メリットやデメリット、コストの面など総合的に判断すると、スレートとガルバリウム鋼板が強いのも頷けるのではないでしょうか。
これら2つはそれぞれに長所と短所があり、一概にどちらがおすすめと言い切れるものではありません。
住宅が建っている地域の気候や地理的条件、初期費用とメンテナンス費用のバランスなど、総合的に考えて選ぶ必要があります。
もし自分だけで判断して後悔したくないという場合は、屋根のプロである塗装業者や葺き替え業者に相談してみると良いでしょう。