あなたのお家は大丈夫?サイディング外壁の再塗装とメンテナンス
最終更新 : 2024.07.12
現在、一般住宅の外壁の主流はサイディング外壁になりましたが、サイディングってなに?って思う人もいますよね。
一般化的になってしまったことから、いまさら聞けない部分もあるのは事実。
ですが、長く大切に住み続けるためには、サイディング外壁のメンテナンスの理解も必要です。
物はいつか壊れます。とはいえ、すぐに壊れてしまわないように、サイディング外壁とはなにか、外壁塗装も含めて理解度を高めていきましょう。
Contents
主なサイディング外壁の種類と特徴
サイディングといっても、外壁としてさまざまな種類が作られています。
それぞれ特徴もありますし、寿命やメンテナンスの周期も違います。
窯業系
サイディング外壁の中でも窯業系は主流を占める素材です。
セメントと繊維質が主原料で、窯に入れて高熱で生成します。
焼成する窯を使うことから窯業系と呼ばれているのです。
非常に多くの種類が作られており、石やタイルだけではなく、木目柄まであったりします。
質感を作り出すのも得意で、仕上げの仕方にも違いがあるのが特徴です。
デザインが豊富なので、イメージに合った外壁を見つけやすいでしょう。
セメントを使った外壁材なので防火性能に優れており、住宅密集地でも使われてきました。
強度も高く、衝撃にも強いところも現代向きであるといえるでしょう。
数多く作られてきたこともあり、年々性能の向上が見られるところも特徴です。
耐用年数は20年から40年程度。外壁塗装などのメンテナンスは塗料にも影響されますが、7~15年程度と考えておけば間違いないでしょう。
金属系
裏面にアルミやガルバリウムなどの金属を使い、芯材にウレタンを使うなどハイブリッドな外壁材が金属系です。
リフォーム用の建材として人気でしたが、新築でも多く使われるようになりました。
金属なので、寒さに強い特徴を持っています。
窯業系は内部に水分が入り、気温が下がると、凍結して爆裂するリスクがありました。
金属では起こらないため、寒冷地で多く使われるようになってきたのです。
重量で見ると窯業系の25%で済むところも大きな意味があります。
重ね張りなどリフォームにも向いているポイントですが、構造的な重さを軽減できるからです。
躯体重量を下げることによって耐久性の低下を防げます。
質感の部分でもメタリックでソリッドなイメージが作れます。
スタイリッシュな雰囲気を作りたいなら金属系サイディングがいいでしょう。
耐用年数は窯業系と変わらない20~40年です。
ただし、メンテナンスは10年ぐらいからと、窯業系よりスパンが長くなります。
こちらも外壁塗装の影響を受けるため、塗料によっては短いスパンでメンテナンスしなければいけません。
木質系
天然木を使ったサイディング外壁です。塗装して仕上げてあるため、質感は自然な風合いが生かせます。
ぬくもりといった点では窯業系や金属系とは一線を画す外壁材です。
あまり多く使われていないからこそ、個性を発揮できるでしょう。
耐用年数は材質によって差が出てくるため、15~40年と幅があります。
メンテナンスは天然材としてもっと細かく見なければいけないことから、3年から10年とサイクルが短いのがデメリットです。
樹脂系
樹脂系は北米などで人気の外壁材です。
重量は金属系よりさらに軽く、薄く仕上げられます。躯体負担の小さい外壁材といっていいでしょう。
樹脂ですので、沿岸部で心配な塩害を受けません。
寒暖差での劣化にも強いため、寒冷地でも使えるのが特徴です。
樹脂系は、自身で防水・耐水性を持つことから、外壁塗装がいりません。
色あせなどに対応したメンテナンスが必要ですが、劣化に強い性能を持っていることがわかります。
しかし、まだまだ施工できる商品や業者が少ないのがネックです。
耐用年数は外壁材としてもとても長い20年から50年程度といわれています。
外壁塗装は必要ありませんが、メンテナンスは10年程度でスタートさせる必要があるでしょう。
関連記事:サイディングの劣化は家の寿命につながる!注目ポイントとメンテナンスの方法を解説
サイディング外壁の再塗装タイミング
サイディング外壁は、樹脂系を除けば耐水性がほとんどありません。
金属系は水を寄せ付けませんが、さびの問題が出てきます。雨水が染み込んでしまい、質としても落ちる可能性が出てくるのです。
さらに雨漏りなどの問題も生じることから、外壁塗装が欠かせません。
メンテナンスとして、タイミングを見誤らないことが大切です。
塗料の種類 | 塗り替えの目安 |
アクリル系 | 3~7年 |
ウレタン系 | 5~10年 |
シリコン系 | 8~15年 |
フッ素系 | 12~15年 |
あくまでも目安ですが、塗料によってメンテナンス時期に大きな差があることがわかります。
以前多く使われていたアクリル系は、最も安価ではあるものの、塗り替えのタイミングが早く、長期的に見ると負担が増大します。
現在主流となったシリコン系塗料でも、15年も経てば塗り替えのタイミングがやってくるのです。
シリコン系であれば、単純計算でアクリルが2回塗り替える間に1回で済みます。
もちろん、条件などによって違いはありますが、長期的な視野で見たほうがいいでしょう。
シンニッケンには、さらに高性能な塗料があります。
長期的スパンで見るとさらにメリットが出てきます。
劣化症状
サイディング外壁に劣化が出てくると、さまざまな症状があらわれます。劣化のサインともいえますが、見逃さないことが大切です。
シーリング
サイディングは工場生産される建材であり、一定の大きさがあります。パネル状になっているため、接ぎ合わせて作るのが特徴です。
つまり、つないでいくため、必ず隙間ができあがります。
この隙間を埋めるのがシーリングの役割のひとつです。
実際にはサイディング外壁は気温の変化によって伸び縮みします。
このときに隙間の幅が変わることから、お互いを傷つけないようにシーリングが必要となるのです。
シーリングは5~10年で劣化します。外壁の取り付けや外壁塗装のタイミングで施工されているため、劣化と耐用年数が分かりやすい部分にもなるのです。
シーリングが劣化すると、弾力を失います。表面がひび割れ痩せてくるなど、見た目でも違いがあるのがポイントです。
シーリングの劣化は雨水の侵入を許すことにもつながるため、早めに補修する必要が出てきます。
色の変化
外壁塗装は劣化とともに色に変化が生まれます。
塗料は樹脂と顔料でできていますが、劣化とともに顔料にも変化が出てくるからです。
色の変化にはいくつかの理由があります。基本的には劣化ですが、色素同士の結びつきに変化を及ぼすのです。
たとえば時間とともに色素同士の結びつきが弱くなると、色あせが見られます。
ツヤのない状態になるといえば分かりやすいでしょう。
色自体が変化するケースでは、酸化も考えられます。
酸性雨などで色が変化する状態で、外壁塗装の劣化が進んでいると判断できるのです。
太陽光に含まれている紫外線も影響を与えます。紫外線は非常に強力な光であり、物質を劣化させるのです。
紫外線には殺菌など大切な要素もありますが、外壁にとっては天敵といえます。
チョーキング
サイディング外壁を手で触ったとき、まるで黒板で使っていたチョークのような粉がつくことがあります。
これをチョーキングと呼びますが、外壁塗装の劣化のサインです。
塗料は樹脂でできていますが、紫外線などの影響で劣化が進むと、内部で変化が生まれます。
樹脂としての結束が弱くなり、分解されていくのです。
このとき生じた化学変化で発生するのがチョーキング現象であるといえば、劣化を表すサインなのがわかるでしょうか。
チョーキングは外壁塗料の性質が変化してきている状況を示します。
サイディング外壁を守るために再塗装の準備を進めていくといいでしょう。
反り・ひび割れ
サイディング外壁の表面で塗料が反り返り、ひび割れてきているのはかなり深刻な状況です。
外壁塗装はサイディング外壁に密着した状態を保ちます。雨水の侵入などを許さないためです。
ところが、劣化が進むとサイディング外壁と接着している力が弱くなり、やがてはがれて始めます。
ひどいときにはひび割れを起こし、一部分だけ剥がれ落ちることさえあるのです。 こうなると、外壁塗装は効果を発揮しません。
サイディング外壁自体も劣化が加速する可能性が出てきます。
関連記事:こんな症状が出たら要チェック!チョーキング現象とはどんなことか徹底解説
サイディング外壁のメンテナンス
サイディング外壁には、種類によってメンテナンス方法があります。寿命をのばすためにも、適切なメンテナンス方法を覚えておくといいでしょう。
窯業系
窯業系サイディングで重要なのは、外壁塗装であることは間違いありません。建材を守る盾となるため、大事なポイントです。
外壁塗装を劣化させないためには、定期的に汚れを落とすなどの方法も有効となるでしょう。
金属系
金属系サイディング外壁の天敵はさびです。塗装面が守ってくれていますが、傷がつき、さびてくる可能性は常にあります。
さびが出ないように傷は必ずメンテナンスする必要があるでしょう。
汚れは早めに落とすのは、窯業系と同じです。
さびは体積膨張を起こします。健全なところもはがれてくるため、見つけたら早くさびを取り除き、再塗装する必要があるのです。
木質系
木質系の場合も守っているのは外壁塗装です。天然の素材を使っている木質系では、外壁塗装が劣化して露出すれば、一気にダメージを増やすことになるでしょう。
塗装面を守るためには、窯業系や金属系の場合、高圧洗浄機などで落とす方法が取られます。
しかし、木質系ではそこまで強くないため、逆に劣化させる要因となるのです。
基本的には薬品なども使いつつ汚れを落とし、塗装面を守ることが必要です。
落ちにくい汚れがある場合には、サンドペーパーなどでこすり落として、再塗装するなどの措置が必要になります。
樹脂系
樹脂系は外壁塗装がいりません。しかし、汚れは樹脂を劣化させる要因です。
常に気をつける必要がありますが、高圧洗浄機でも対応できるため、手早く落とすといいでしょう。
スポンジやブラシなどでこすっても外壁塗装がないため問題ありません。
汚れが落ちないときには、中性洗剤を使います。酸性やアルカリ性を使うと変色する可能性があるため注意が必要です。
サイディング外壁のリフォーム
サイディングが劣化してくると、塗装などでは追い付かない可能性が出てきます。
サイディング外壁自体の寿命といえるでしょう。このときの対処方法はいくつか考えられます。
張り替え
サイディング外壁自体が劣化してきたときには、交換するのが確実な方法です。
新しいサイディング外壁を取り付ければ、新築と同じような状態を作れるからです。
張り替えには、既存のサイディング外壁を撤去しなければいけません。
撤去して処分することから、どうしても高額になる工事方法です。
メリットは、剝がさなければできない、サイディング内部にも手を入れられることにあります。
雨漏りしているようなケースでは、内部のメンテナンスも必要となるため、張り替えを選択する意味は十二分にあるでしょう。
重ね張り
張り替えはどうしても高額になる方法ですが、重ね張りならかなり抑えられます。
カバー工法とも呼ばれますが、既存のサイディング外壁に対して、新しいサイディングを重ねて貼る工法です。
躯体本体にかかる重量が増すため、金属系サイディングなど軽量なものが選ばれます。
重ね張りの場合、既存のサイディング外壁の撤去費用がかかりません。
費用を抑えるのにも効果がある方法で、工期も短くて済みます。
問題は、既存のサイディング外壁の劣化に左右される点です。
あまりに劣化が進み、構造的に耐力を失っていると、重ね張りは使えません。既存のサイディング外壁に取り付ける形になるからです。
サイディング外壁はDIYでも補修できるのか
DIYを楽しむ人が増えた昨今、サイディング外壁の補修もDIYでしてみようと考える人が増えました。
ですが、現実にDIYで対応できる範囲はほんのわずかな部分しかありません。
タッチアップ程度の外壁塗装
タッチアップとは、小さな損傷部分を修復する方法です。
たとえば外壁塗装に傷が入った場合、そのままにしておくと雨水が浸透するかもしれません。
このような小さな可能性の部分なら、タッチアップで対応しておくといいでしょう。
実際の方法としては傷ついた塗装の部分の汚れを落とします。
紙やすりを使って調整と目荒らしして、こまかなほこりを取ってから市販の塗料を塗ります。面積が大きいときには、ローラーを使うといいでしょう。
あくまでも限定された範囲での話であって、下地処理などを考えれば、大きな範囲はDIYでは難しくなります。
窯業系サイディングの場合、衝撃で欠けることがあるのも事実です。
表面だけであれば、専用の塗料を使ってタッチアップすることで、水の浸透を止め目立たなくできます。
範囲の小さいシーリング
シーリング関連はホームセンターでも簡単に手に入ります。小さな範囲であればDIYで対応してもいいでしょう。
シーリングがはがれてきている部分を見つけたとき、できるだけひとつの目地をきれいに除去します。カッターナイフや皮スキなどで目地から撤去しましょう。
目地の周りをマスキングテープで養生し、専用のプライマーを塗布してからシーリング材を打ち込んでいきます。
ヘラを使って隙間ができないように充填させ、表面が乾き始めた段階ではがれないようにマスキングを撤去してできあがりです。
しっかりと充填させることが大切で、打ち継ぎは作らないようにします。打ち継ぎを作ると、DIYではどうしてもはがれやすくなるからです。
シーリング材は水をはじきます。
施工は必ず晴れている日で、施工面が濡れていないことが条件です。
プライマーを塗るときにも十分注意しなければいけません。
専門業者に任せたほうがいい安全性の問題
DIYで施工するのは、あくまでも自己責任の範疇です。
技術レベルが高ければ、施工自体はできるかもしれません。しかし、安全に対する意識は違います。
サイディング外壁の補修は外壁塗装など高所作業が出てきます。足場を組むか、高所作業車のような専用車両が必要です。
たとえば外壁塗装するとしても、脚立では2階には届ききません。
梯子を使っての作業は、タッチアップ程度ならできても、広範囲になると危険性が非常に高まるのです。
安全設備に関しては、素人ではできないことが出てきます。足場の設置だけではなく、自分の身を守る装備や知識も必要になるからです。
けがをしても、なにか保証を受けられるわけでもありません。
自己責任となることからも、専門業者に依頼して確実に工事を完了させるほうが、生活にかかる面まで見てもリスクは少ないのです。
関連記事:そのままにできないからといってDIYでは厳しい!雨漏り修理の現実
まとめ
サイディング外壁は多くの住宅で使われるようになりました。
マイホームとしてみると大事なことは、異常な状態を作らず長く性質を安定させることです。
そのサイディング外壁を守る基本は外壁塗装にあります。
樹脂系以外は雨水に対して弱点がある以上、外壁塗装が盾となるからです。
外壁塗装は高い技術を必要とします。知識も装備も必要です。
時間もかかる上に、足場などの問題もあることから、シンニッケンなど専門業者に依頼して点検から始めていきましょう。