モルタル外壁のひび割れが起こる原因は?放置した時のリスクや補修方法を解説
最終更新 : 2024.10.02
現在の住宅を見ると、外壁には窯業系サイディングが一般化し、数多く採用されるなか、以前はモルタル外壁が多く使われてきました。
特に1990年以前はモルタル外壁が基本だったのです。
古くから採用されてきた外壁材ですが、施工には技術力が必要だったことが、現在ではデメリットとして目立つようになりました。
仕上がりに差ができやすいからです。
メンテナンスの部分でもサイディングと違いがあります。
特にひび割れ補修という重要な影響が出やすいことも、モルタル外壁が抱える大きな問題です。
なぜひび割れが起こり、メンテナンスをしなければいけないのでしょうか。
どのような補修方法が必要かを解説しますので、ご自宅の状況も踏まえて今後の予定を考えてみてはいかがでしょうか。
Contents
モルタル外壁とは?
モルタル外壁は、セメント、砂、水を混ぜ合わせて作られた建築材料を使用して仕上げられた外壁のことです。
一般的には、強度が高く、耐久性に優れているため、長年にわたって使用されてきました。
モルタル外壁は、コンクリートのように固まる性質があり、木造建築や鉄骨造の建物にも広く採用されています。
また、表面の質感やデザインの自由度も高いため、さまざまな建築スタイルに対応できるのも特徴です。
しかし、モルタル外壁にはメリットだけでなく、経年によってひび割れが発生しやすいというデメリットもあります。
特に湿度や温度の変化が大きい地域では、モルタルの収縮や膨張が激しくなるため、ひび割れのリスクが高まることがあります。
そのため、モルタル外壁のひび割れを早期に発見し、適切な補修を行うことが大切です。
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モルタル外壁に起こる主なひび割れ
モルタル外壁には、さまざまな種類のひび割れが発生する可能性があります。
これらのひび割れは、発生原因や深刻度によって異なり、適切な補修方法を選択することが必要です。
以下では、代表的なひび割れの種類について説明します。
ヘアクラック
髪の毛のような細く浅いひび割れのことをヘアクラックと呼びます。
表面だけ構造的にはひび割れていない状態です。
ヘアクラックとは、一般的に幅0.3mm以下のことを指します。
実際には構造的に問題がない程度という解釈ですが、なぜヘアクラックが入ったのかという原因が問題です。
軽微な問題であれば、すぐに補修する必要はありません。
しかし、力がかかり構造クラックになる前の段階の可能性も出てきます。
大きな問題となる前に、対策を打たなければいけないパターンです。
クラックは日々変化する可能性があるため、伸びていないか、ひび割れの幅が大きくなってきていないか、チェックする必要があるでしょう。
構造クラック
構造クラックとは、深さが4mm以上に達したひび割れのことです。
幅はヘアクラックより太く、0.3mm以上に広がります。
こうなると、内部の構造まで届いており、水が侵入する可能性が出てくる状態です。
構造体としてみても、ひび割れたことで一体化していません。
つまり、バラバラになりかけているパーツで壁を構成していると考えられます。
壁の強度的にもかなり下がってきているといっていいでしょう。 状態としてみてもかなり深刻です。
水の侵入を止めるとともに、強度を保つために一体化させる補修をしなければいけません。
ここでも大事なことは「原因」です。
ひび割れをふさぐだけでは、かかっている力に対抗できないかもしれません。
そうなればどんどんとひび割れは広がり、違う方向にも派生する可能性が出てきます。
モルタル外壁にひび割れが起こる原因
モルタル外壁にひび割れが生じる原因はさまざまです。
これらの原因を理解することで、ひび割れを防ぐ手助けとなります。
以下では、主な原因について解説します。
経年劣化
どのようなものでも、時間とともに劣化する状況は避けられません。
経年劣化と呼ばれますが、モルタル外壁では、守っている外壁塗装が経年劣化し剥がれてくると、本体側の劣化も進みます。
もうひとつ、内部からの侵食もあります。
以前は、コンクリートは100年持つといわれてきました。
モルタル外壁も非常に長いスパンで強度を保てると思われていたのです。
ところが、近年は中性化による被害により、そこまで長く強度を保てないことがわかったのです。
モルタル外壁も、コンクリートと同様にセメントの反応で強度を発生し保っています。
コンクリートが強アルカリ性を持っているのも、この化学反応によるところなのです。
ところが、酸性雨や人間の呼吸は酸性を示します。
この影響により、モルタル外壁も徐々に強度を落としていくのです。
ひび割れを補修するときには、同時に塗装面の見直しなどが必要ともいえるでしょう。
施工不良
施工の質による影響は、深刻な問題を抱えます。
モルタル外壁は施工の質が大きな影響を与えるため、ひび割れが見られたときには深刻な問題を抱える可能性が高いといえるでしょう。
早急な補修とともに、ほかの部分にも問題がないか確認が必要です。
乾燥による収縮
乾燥収縮はモルタル外壁でも避けられない問題です。
適切な状態を保つために、外壁塗装なども含め見直しが必要になります。
表面だけの変化が多い一方で、浸食が進めば致命的な状態にも発展します。
地震などの自然災害
人間の力は自然にはかないません。
地震などの力がかかったとき、モルタル外壁が耐えられなくなる可能性が出てきます。
自然の力は大きく、想定を超える可能性は常にあるのです。
これは地震だけではありません。
周りの振動、地盤沈下なども同様の力がかかります。
問題は一瞬の力ではありません。小さな力でもどんどんと削られます。
やがて耐力が失われたときには、大きなひび割れとして現れてくるのです。
自然に回復しない以上、シンニッケンがおこなっているような点検とメンテナンスを含め対策していく必要があるでしょう。
関連記事:外壁のひび割れは補修が必要?手遅れになる前に補修対応
外壁のひび割れを放置したときのリスク
外壁のひび割れを放置すると、建物全体の耐久性や美観に悪影響を及ぼします。
ここでは、ひび割れを放置することで生じるリスクについて説明します。
ひび割れの増加
ひび割れとは劣化です。
劣化している状況は、これから先にも影響を与えます。
ひび割れの場合、さらに大きく伸びていく可能性がありますし、外壁としての強度はどんどん落ちるのです。
ひび割れを起こせば一体化していない状態につながります。
雨漏りなどによるカビの発生
ひび割れから雨水が侵入することで、雨漏りの可能性が出てきます。
室内の湿度が上昇し、カビが発生する問題も抱えるのです。
見えるところなら対策もできるでしょう。
しかし、壁の裏側など狭い空間でもカビが広がる可能性があるのです。
見えないところから、健康被害を発生させるかもしれません。
美観の低下
当然のことですが、壁にひびが入っているのを見かければ、大丈夫かな?と思いませんか。
美観もどんどんと低下していき、やがて危険な存在と認識するようになります。
建物の耐久性低下
ひび割れが進行すると、建物全体の耐久性も低下します。
特に、構造クラックが放置されると、建物の耐震性や耐風性に影響を及ぼし、災害時のリスクが高まる可能性があります。
建物を長持ちさせるためにも、ひび割れが発生した際には、早めの対策が必要です。
モルタル外壁のひび割れを補修する方法
モルタル外壁のひび割れを補修する方法は、ひび割れの種類や深刻度によって異なります。
以下では、代表的な補修方法について紹介します。
セメントの塗り込み
表面にセメントを塗り込み、クラックを埋める工法です。
専用のセメントやスプレーも出ていますが、速乾性があることが重要になります。
速乾性が高いと、施工に関する可使時間はわずかしかありません。簡単にできるようで、できない方法となるのです。
この方法はヘアクラックに使われますが、そもそも根本的解決には向きません。
塗り付けた表面をカバーするだけだからです。
ヘアクラックに浸透するように見えますが、わずかな隙間しかないヘアクラックに浸透させるのは不可能といえます。
セメントには必ず水が必要で、化学反応で使われます。塗り込みでも同様ですが、水分が失われると収縮は避けられません。
収縮低減や膨張などによって影響を抑えていますが、それでもしっかりとした付着が続くわけではないため、一時的な補修であり強度を回復するものではないといえるでしょう。
Uカット・Vカット工法
ひび割れた部分をベビーサンダーでカットしていく工法です。
その断面形状からUカットやVカット工法と呼ばれますが、基本的な考え方は変わりません。
ひび割れ側面の表面部分は脆弱であり、この部分を削り落とし、内部に近い部分まで削り出します。
カットした部分に補修材を詰め込み、ひび割れを恒久的に補修しのばさないようにするのが目的です。
補修材はエポキシ樹脂が選ばれます。硬化したときの強度が高く、接着能力も高いからです。
セメント系もありますが、付着力では劣るため、一体化は難しいといっていいでしょう。
両方の性質を持つ樹脂モルタルを利用することもあります。
ピンニング工法
モルタル外壁の表面が浮き上がっているとき使われる工法です。
表面部分から削孔して、ステンレスピンを打ち込みます。
そこにエポキシ樹脂を注入することで、表面を剥がれないように一体化します。
ステンレスピンを使うため、さびで膨張することもありません。
エポキシ樹脂は接着剤になるため、硬化すると一体化できることから、補修に使われます。
シリンダー工法
ひび割れが長く深い場合、シリンダー工法が有効です。
低圧シリンダーを取り付け、エポキシ樹脂を流し込んでいく方法で、ゆっくりと浸透させることでひび割れの内部に注入します。
非常に有効な方法ですが、ひび割れが構造的に深すぎて部材が断裂していると、エポキシ樹脂が流れ出してしまいます。
モルタル外壁に厚みがある場合には、とても有効です。
問題は技術的に難しく、簡単にはできないことでしょう。
シリンダーの代わりに専用のバルーンを使う方法などもあります。
打替え
モルタル外壁自体が外壁として性能を発揮していない状態になると、いったん撤去し作り変える必要が出てきます。
完全に撤去して塗り替える方法や、一部分を打替える方法もあり、状況によって判断しなければいけません。
特に耐力が失われ、構造的に耐久性を失っていると判断できるなら、できるだけ早い段階で作り変える必要が出てきます。
壁も構造的に大事な部分です。耐力を失えば、全体的な耐久性にも影響します。
部分的に打ち替える場合には、無収縮モルタルのような収縮しないものを使わなければいけません。
関連記事:外壁洗浄は外壁を美しく保つだけではない!ポイントをわかりやすく説明
モルタル外壁のひび割れ補修はDIYでできる?
モルタル外壁のひび割れ補修をDIYで行うことは可能です。
しかし、補修の難易度はひび割れの種類や深さによって異なります。
特に、構造クラックや深いひび割れは、専門知識や技術が必要となるため、DIYでの対応は難しいでしょう。
DIYで対応できるのは、ヘアクラックや浅いひび割れに限られます。
セメントの塗り込みや、簡単な補修材を使用した対応は可能ですが、補修の効果を持続させるためには、専門家によるチェックと補修が望ましいです。
専門業者に依頼することで、より確実で長持ちする補修を行うことができます。
モルタル外壁のひび割れ補修はシンニッケンにお任せ!
モルタル外壁のひび割れ補修をお考えなら、シンニッケンにお任せください。
シンニッケンでは、経験豊富な職人が一つひとつのひび割れに丁寧に対応し、耐久性の高い補修を行います。
お客様のご要望に合わせた最適な補修プランを提案し、美しい外観と建物の耐久性を両立させることをお約束します。
モルタル外壁のひび割れ補修でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
モルタル外壁に発生するひび割れは、経年劣化や施工不良、乾燥収縮、自然災害など、さまざまな要因によって引き起こされます。
ひび割れを放置すると、さらに深刻な問題へと発展する可能性があるため、早めの対策が重要です。
モルタル外壁のひび割れ補修には、セメントの塗り込みやUカット・Vカット工法、ピンニング工法など、さまざまな方法があります。
ひび割れの種類や深刻度に応じて、適切な補修方法を選択することが大切です。
また、DIYでの補修も一部可能ですが、確実で長持ちする補修を行うためには、専門業者に依頼することをおすすめします。
モルタル外壁のひび割れ補修でお悩みの際は、シンニッケンにご相談ください。