外壁塗装は自分でできる?自分でメンテナンスできる範囲とやり方をプロが解説
最終更新 : 2024.10.02
最近では、DIYの人気が高まり、外壁塗装やメンテナンスを自分で行おうと考える人も増えています。
プロのような仕上がりにはならないかもしれませんが、自分で外壁を塗る楽しさや達成感は格別です。
一部分だけを塗り替えることもできるので、まずはできる範囲から始めてみてはいかがでしょうか。
この記事では、「自分で外壁塗装するなら」という視点で、できる範囲ややり方を解説します。
DIYの参考にしつつ、専門業者に依頼する際の判断材料としても活用してみてください。
外壁塗装の流れ
自分で外壁塗装をするなら、まず基本的な工程を理解しておくことが大切です。
これにより、必要な道具や時間、足場の有無などを事前に把握できます。
外壁塗装のための足場準備
外壁塗装を行う場所によっては、自分では手が届かない範囲が出てきます。
安全に作業し、仕上がりを良くするためにも、足場の準備は重要です。足場材で組む方法もありますが、簡易的な方法として脚立を使って足場を作ることもできます。
脚立を2本立て、その間に足場板を通せば、簡易的な足場が完成します。
脚立にがたつきがないか確認し、足場板はゴムバンドで固定して滑らないようにして安全を確保しましょう。
足場板が不安定になると意味がないので、脚立の一番上にのせるのは避けてください。
馬と呼ばれる足場がセットになっている脚立を使うのも一つの方法です。
外壁塗装前の洗浄の重要性
外壁塗装を行う前には、まず外壁についている汚れをしっかりと落とす必要があります。
汚れが残ったまま塗装をすると、塗料がうまく定着せず、仕上がりに影響が出ます。
なにかものを接着するときに、異物があるとはがれやすくなるでしょう。考え方は同じです。
汚れと同時にホコリもきれいに洗浄することが、仕上がりを決める大事な要素になります。
洗浄の方法には、高圧洗浄機を使った水圧を利用する方法があります。
高い水圧で汚れを効果的に落とし、ボイラーを搭載した機器でお湯を使うことでさらに効率的に作業が進みます。
ただし、水を使用するため、外壁に水分が残り、すぐに塗装ができない場合があります。
また、隣家への配慮として養生が必要です。
表面にホコリがついているだけの場合は、ブロワーを使用して空気圧で吹き飛ばす方法もあります。
この方法はこびりついた汚れは落とせませんが、乾燥も促すのですぐに外壁塗装に取り掛かれます。
モーターの音は出ますが、周囲に水が吹き飛ぶ影響もありません。
汚れが小さな範囲なら、雑巾で汚れを拭き取ることも可能です。ただし、水分が残らないように注意しましょう。
下地処理と目荒らしで塗装を長持ちさせる方法
塗料の付着強度を高めるために、目荒らしを行い表面に微細な傷をつけることが大切です。
これにより塗料がしっかりと定着します。
傷をつけるといっても、大きくつけるのではありません。
例えばやすりを使って表面をこするだけでも、でこぼこができて表面積が大きくなります。
外壁塗装の付着強度が確実に高まるので行いましょう。
外壁塗装の前には、次のような下地処理を行います。
- ひび割れの補修
ひびが入っている部分は補修材を使用して埋めます。 - コーキングの打ち直し
古いコーキングを取り除き、新しいコーキングを施します。 - 脆弱部分の補修
脆くなっている部分を補修して、塗料がしっかりと定着するようにします。
一度外壁塗装すると、ひび割れなども見えなくなり、以後状況がわからない可能性も考えられるため、異常のある部分は、塗装前にしっかり直さなければいけません。
ケレン作業も忘れずに行いましょう。
金属部分の錆や古い塗装を削り落とし、塗料がしっかりと密着するようにします。
マスキングと養生
塗る部分を決めたら、余計な部分に塗料が付かないようにマスキングします。
しっかり縁を切ると、仕上がりも違いが出てくるものです。
養生も同時に行い、地面や不要な部分への塗料の飛散を防ぎます。
隣家や作業場所も養生し、安心して作業が進められるようにしましょう。
下塗り
下塗りを行うことで、上塗りが定着しやすくなり、仕上がりがきれいになります。
1度塗料を塗ることで、上塗りを定着しやすくできる重要な役割があり、塗り残しを防ぎます。
中塗り・上塗り
中塗りには上塗りと同じ材料を使い、色むらを抑えます。
2回塗ることで塗料の防水効果がしっかりと発揮されますが、厚く塗りすぎると乾燥不良や割れの原因になるため注意が必要です。
適切な乾燥時間をおいたのちに、上塗りすることも大切です。
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自分でできる外壁塗装の工法
自分で外壁塗装する場合の工法には、いくつかの選択肢があります。
簡単なものから専用の道具を用いるものまでありますので、作業範囲に応じて選びましょう。
はけ塗
もっとも単純な方法がはけ塗です。
専用のはけを使って塗る方法で、手軽に始められます。
狭い範囲や細かい部分に適していますが、仕上がりにムラが出やすいです。
ローラー工法
費用も掛からず手に入り、広範囲を効率的に塗れるのがローラー工法です。
広範囲を均一に塗るのに適した方法です。ウレタンローラーを使い、塗料を均一に広げます。
専用のケースを使い、ローラーにあまり塗料を染み込ませないようにして塗るのがポイントです。
ローラーの入らないところやきわの部分ははけを使って塗ります。
吹き付け工法
缶で販売されているスプレーや専用の機材を使って塗装する方法です。
一回に広範囲を塗装できるうえ、広範囲を効率的に塗装できますが、道具の準備に費用がかかります。
小さいポイントだけ塗装するなら、缶スプレーでもできますが、広範囲になると材料費が跳ね上がってしまいます。
自分で外壁塗装に使うなら、傷がついた部分や塗り残しなどをカバーするために使うことになるでしょう。
自分で外壁塗装するときに用意したい道具
外壁塗装の工程を踏まえて、必要な道具を用意しましょう。
足場材
高いところを塗るときは、手が届かないなら足場を作らないといけません。
不安定な状態で塗装するのは大変危険なため、安全を確保するためにも、しっかりと安定した足場は作業に欠かせません。
自分で外壁塗装するなら脚立が代表的ですが、効率を考えても複数台用意して、間に足場板を通す必要があります。
これだけでもかなりの費用が掛かるので、事前に計算しておくことが大切です。
洗浄道具
自分で外壁塗装するときには、なかなか大掛かりなものは用意しにくいはずです。
モップなどでも洗えますが、掛かる時間を考えれば、高圧洗浄機などをレンタルして用意したほうが安上がりです。
ブロワーなどは充電式のものがあると便利ですが、かなり値段が張ります。
下地処理用
下地処理には、状況によってさまざまなものが必要です。
ひびが入っていれば補修材がいりますし、コーキングや古い塗装をはがすためのケレン用に皮すきなどがあるといいでしょう。耐水の紙やすりもあると便利です。
欠損部分を補修するなら、補修モルタルや左官こて、樹脂用の道具なども必要になります。
養生用の道具
マスキングテープは、できるだけ幅広いものがいいでしょう。
専用を用意するとあとではがすときに残りません。養生用にテープにビニールがついているものもあり、うまく使うことが仕上がりを高めます。
足元や塗料置き場にはブルーシートがいいでしょう。
あまり安いものを用意すると、薄くてすぐ破れてしまうため、使う場所を考えて選択するのがポイントです。
塗料
塗料は1液、2液がありますが、使い勝手に優れるのは1液です。用意が簡単で配合の手間もありません。
耐久性を考えるなら2液です。配合比などの問題もあるため、知識がないと使いにくい部分もありますが、耐久性の高い外壁塗装ができます。
慣れていないなら、油性ではなく水性塗料を選ぶのも大切です。道具の管理も溶剤として水を使えるので扱いやすくなります。
塗装道具
どのような工法をとるかで変わりますが、はけは用意しておくときれいに仕上げやすくなります。
塗装用ローラーを使うのが一般的ですが、塗料を入れるケースとともにローラーを絞る網もセットのものがいいでしょう。
替えのローラーも複数本用意しておきます。
安全のための道具
外壁塗装するときは、体に塗料が付く可能性があります。ゴム手袋などの装備は必須です。
慣れていないなら、洗浄やケレン作業の段階から、安全眼鏡やマスクも用意しておくといいでしょう。
服装も汚れてもいいものが適しています。靴も同様です。
自分でできる塗装の範囲
業者に依頼すると、どうしても高額になるから自分で塗装したいという人も多いでしょう。
自分で塗装する場合、すべての状況で対応できるわけではありません。
特に複数階の家や広範囲の塗装、複雑な外壁形状では、業者に依頼する方が安全で効率的です。
特に複数回になると、安全の確保は、格段に難しくなります。
広範囲なだけではなく、複雑な外壁の形状の場合も、自分で塗れるとは限りません。
古い塗装をはがしにくいなど、塗装に高い技術が求められるからです。
下地処理が不十分だと、後で大きな問題に発展する可能性があります。
逆に補修するチャンスと考え、専門業者に依頼して建物の寿命を延ばしたほうがいいでしょう。
自分で塗装と起きるトラブル
自分で塗装を行う際には、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
仕上がりの問題
仕上がりは、プロと大きな差が出ます。
どんなにきれいに仕上げようとしても、プロの仕上がりとはかなりの差がつくことを理解しておきましょう。
色むらが出やすいのも仕上がりの問題です。膜厚のばらつきから、でこぼこができてしまう可能性もあります。
塗膜の白濁
うまく発色せず、白く濁るケースがあります。特に水分を含み、仕上がりで白濁するようなケースが出てくるのです。
塗装には適切な気温や湿度があります。
プロなら管理した状況の中で施工しますが、自分で外壁塗装すると時間の制限もあってなかなかうまくいかないことも出てくるものです。
耐久性にも大きな影響を与えるので、焦らずできるような時間の管理もしておくこといいでしょう。
剥離
下地処理の問題により、新しく塗った部分が剥がれ落ちることがあります。
プロなら徹底した下地処理をしますが、処理があまいと新しい塗装も巻き込んではがれることがあるのです。
下塗りがいい加減なものになると、上塗りがうまく付着できずにはがれやすくなるケースもあります。
膨れあがり
塗料が平滑ではなく、膨れ上がるケースがあります。
中に空気が入って膨張することが主な原因ですが、壁が乾燥しておらず水を含んで膨れ上がっているケースもあります。
もちろん、塗料は密着していないので、割れたり剥がれたりする状態です。
まとめ
自分で外壁塗装を行うことは、時間や手間はかかるものの、達成感や費用の節約につながるメリットがあります。
しかし、技術や経験が不足していると、思わぬトラブルや仕上がりの不満足が発生する可能性が高いです。
自分で塗ってしまったことで、補償の対象外になる可能性や、失敗したからといって専門業者に依頼すると、3倍近い費用が発生するケースもあるのです。
自分で塗装するか業者に依頼するかは、作業の難易度や安全性、仕上がりを総合的に判断して決めることが大切です。
どうしても難しいと感じたときは、まず専門業者に相談してみましょう。
建物を守るための最適な選択を考えていきましょう。