外壁をガルバリウム鋼板にして後悔するケースとは?最適な外壁材の選び方を紹介
最終更新 : 2024.10.03
外壁材として用いられるガルバリウム鋼板は耐久性やデザイン性に優れ、高い人気を誇っています。
しかし、その特性やデメリットを考慮せず、ただ人気だからという理由だけでガルバリウム鋼板を選んで思わぬ後悔をしてしまうケースも。
外壁材の張り替えは大規模な工事になり費用もかさむため、選び方には慎重になる必要があります。
本記事ではガルバリウム鋼板を選んで後悔したケースについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
外壁としてのガルバリウム鋼板の特徴
ガルバリウム鋼板は鉄の上にアルミニウム、亜鉛、シリコンでメッキを施した金属素材です。
具体的にはアルミニウムが55%、亜鉛が43.4%、シリコンが1.6%の割合で含まれており、耐食性(さびにくさ)と耐熱性を持つのが特徴です。
ここではガルバリウム鋼板の特徴について見ていきましょう。
耐食性
ガルバリウム鋼板は非常に高い耐食性を誇ります。
酸や塩分による腐食に強いため、長期間美しい状態を保つことが可能です。
また通常の鉄板に比べて錆びにくく、メンテナンスの頻度を減らせるため、コストパフォーマンスが高い外壁材として人気があります。
耐熱性
ガルバリウム鋼板は耐熱性にも優れています。
アルミニウムの成分が熱を反射しやすく、直射日光を受けても温度の上昇を抑えられるのです。
夏には地域によっては40℃近い気温を記録することもある日本において、この耐熱性の高さは重宝されています。
重量
ガルバリウム鋼板は非常に薄く、軽量であることも大きな特徴です。
従来の外壁材と比べてきわめて軽いため、建物全体の負荷を軽減し、耐震性能の向上が期待できます。これが地震大国である日本で普及してきた理由のひとつでもあります。
また、軽量であるため施工が容易で工期を短縮でき、コストの削減につながるのも評価されるポイント。
軽量ながらも強度があるため、長期間にわたり建物を保護する優れた外壁材といえるでしょう。
デザイン性
ガルバリウム鋼板は、モダンでスタイリッシュなデザイン性が特徴です。
表面の仕上げは光沢感があり、外壁に使用することでシンプルかつ洗練された印象を与えることができます。現代的な住宅や商業施設によく用いられるのはこのためです。
耐久性と美しさを兼ね備えた外壁材として、デザイン性を重視する方からも好まれています。
関連記事:ガルバリウム鋼板の屋根とは?おしゃれな人気色や耐用年数について解説
外壁をガルバリウム鋼板にして後悔するケース
外壁材として優秀なガルバリウム鋼板ですが、「後悔した」という声も一定数あるようです。
ここでは、外壁材にガルバリウム鋼板を選んで後悔してしまう具体的なケースを見てみましょう。
冷暖房効率が悪くなる
ガルバリウム鋼板は耐熱性が高いのが魅力とお伝えしましたが、耐熱性≠断熱性ではない点には注意が必要です。
ガルバリウム鋼板そのものは熱を受けても温度が上がりづらく、熱による変性を起こしにくいのですが、非常に薄いため、熱を遮断する能力はあまり高くありません。
日本は夏は40℃近く、冬は氷点下になることも多く、快適に暮らすためにはエアコンの使用が欠かせません。
しかしガルバリウム鋼板を外壁材に選ぶことで室内の温度が外気の影響を受けやすくなり、思っていたよりも冷暖房効率が悪くなったことを後悔するケースがあります。
最近では断熱材と一体型になったガルバリウム鋼板も開発されており、断熱性の低さという課題も克服されてきています。
遮音性が低い
冷暖房効率のところでも述べたとおり、ガルバリウム鋼板は非常に薄いため、遮音性にはあまり期待できません。
金属である以上ある程度は仕方ないですが、音が反響しやすく、雨音や外部の騒音が気になるケースがあるようです。
特に隣家との距離が近い場合や、交通量の多い道路に面している場合は注意が必要です。
対策としては、断熱材は音を吸収するため、断熱性と一体型のガルバリウム鋼板を使用することで、断熱性、遮音性の低さといった弱点2つを同時にカバーできます。
傷や凹みがつきやすい
ガルバリウム鋼板の薄さは物理的な耐久性といった面でも課題となります。
加工がしやすいのは大きなメリットですが、変形させやすいということは、強風による飛来物や日常生活でも起こり得るちょっとした衝撃でも傷や凹みがつく可能性があるということ。
単純に外観を損なうという時点で精神的にも大きな打撃でしょう。
また、「小さな傷が生じたが、あまり目立つものではなかったため放置してしまい、その後に起きた大きな地震で傷ついていた箇所を中心に亀裂が入って後悔した」という声も聞かれました。
錆びる可能性がないわけではない
冒頭でも述べたようにガルバリウム鋼板はきわめて耐食性の高い合金です。
とはいえ、金属である以上は全く錆びないというわけではありません。
特に海沿いや年中湿気の多い地域では、他の金属より強いとはいえ、錆びる可能性は十二分にあるといえます。
台風の多い地域では飛来物で傷がつき、その傷の部分に水分がたまって錆が生じるという合わせ技を食らうことも大いにあり得るため、過信は禁物です。
さらに耐食性を高めるための対策として、フッ素コーティングされたガルバリウム鋼板を用いられることがあります。
ガルバリウム鋼板とその他の外壁材を比較
ガルバリウム鋼板以外には、下記がメジャーな外壁材として知られます。
- サイディング
- モルタル
- タイル
ここまではガルバリウム鋼板の特徴や難点について説明してきましたが、ここで、その他の外壁材との比較をしてみましょう。
ガルバリウム鋼板 | サイディング | モルタル | タイル | |
耐食性 | 非常に錆びにくい | 錆びにくい | 錆びない | 錆びない |
耐熱性 | 高い | 普通 | 高いがひび割れしやすい | 非常に高い |
遮音性 | 低い | 普通 | 比較的高い | 高い |
重量 | 非常に軽量 | 普通 | 重い | 重い |
コスト | やや高い | 比較的安価 | 普通 | 高い |
コスパ | 高い | やや低い | 低い | 高い |
サイディング
サイディングは繊維セメント板や金属板、樹脂などで作られた外壁材。軽量で施工がしやすく、デザインのバリエーションが豊富です。
ガルバリウム鋼板と比べて断熱性や遮音性に優れた製品も多く、メンテナンスが簡単なのもポイント。
しかし、耐食性や耐久性ではガルバリウム鋼板に劣ることがあり、特に金属製のサイディングでは錆びのリスクが高くなります。
一方で、価格が手頃であるため、コストを重視する場合に選ばれやすい素材です。
関連記事:あなたのお家は大丈夫?サイディング外壁の再塗装とメンテナンス
モルタル
モルタルはセメントと砂を混ぜて塗り付ける外壁材で、独特の質感や風合いを持つことが特徴です。
ガルバリウム鋼板に比べて断熱性や遮音性が高く、自由なデザインにできます。
しかし、ひび割れが発生しやすいため、定期的なメンテナンスが必要な点に注意が必要です。
また、施工に時間と手間がかかるため、ガルバリウム鋼板よりも工期が長くなる傾向があります。
耐久性ではガルバリウム鋼板に劣りますが、その質感からモルタルが選ばれることも珍しくありません。
タイル
タイルは焼き物や石材で作られた外壁材で、非常に高い耐久性と耐候性を持ちます。
ガルバリウム鋼板と比べて耐久性において優れており、メンテナンスの頻度が少なくて済むのが大きなメリット。
また、その美しい仕上がりは高級感を演出し、建物の価値を高められます。
一方で、重量があり、施工費用が高い点がデメリットといえるでしょう。
外壁をガルバリウム鋼板にして後悔しないためのポイント
外壁材にガルバリウム鋼板を選んで後悔しないためのポイントは以下の4つです。
- 適切なカラー選び
- 断熱性・遮音性の確認
- メンテナンスについて
- 施工業者の選択
各ポイントについて解説します。
適切なカラー選び
ガルバリウム鋼板の外壁で後悔しないためには、適切なカラー選びが重要です。
選ぶ色によって建物の印象や周囲との調和がとれているかが大きく変わります。
また、色によっては汚れが目立ちやすい場合もあるため、メンテナンスの手間も考慮に入れる必要があります。
経年変化による色褪せも考慮して、長く飽きのこないカラーを選ぶことが大切です。
実際の色味を確認するためには、サンプルやシミュレーションを活用すると良いでしょう。
シンニッケンでもカラーシミュレーションを提供しています。
カタログと実物では色味が異なる場合があるため、実際に建物を想定した塗装シミュレーションを確認しておくことが重要となります。
外壁は全34色ご用意しておりますので、ぜひご活用ください。
断熱性・遮音性の確認
ガルバリウム鋼板は薄い素材であるため、断熱性や遮音性に課題があることはこれまでお伝えしてきたとおりです。
そのため地域性や気候、隣家との距離、周囲が静かな環境かどうかなど、総合的に考慮する必要があります。
断熱性と遮音性をどちらも高めるためには、最近普及してきた断熱材と一体型のガルバリウム鋼板の使用を検討してみましょう。
メンテナンスについて
ガルバリウム鋼板は耐久性が高く、錆びにくいとされていますが、沿岸部や酸性雨の多い地域では錆が発生するリスクが高くなります。
特に、海風に含まれる塩分や酸性雨は鋼板にダメージを与える可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。
湿気の多い地域では、防錆処理やフッ素加工の施されたガルバリウム鋼板を使用すると良いでしょう。
施工業者の選択
ガルバリウム鋼板の外壁施工においては、業者選びが非常に重要です。
施工業者を選ぶ際は、必ず相見積もりをとることをおすすめしています。
複数の業者に見積もりを依頼することで相場感を把握でき、値段交渉にも使えるほか、不必要な提案をしてきている業者を見抜くことにもつながります。
実績が豊富で、地域や立地の特性を理解し、最適な提案をしてくれる施工業者を選びましょう。
関連記事:家の外壁塗装の塗り替えについて|費用相場や期間について解説
まとめ
ガルバリウム鋼板は、耐久性やデザイン性に優れた外壁材ですが、一方で注意しなければならない点もあります。
外壁選びで後悔しないためには、カラーシミュレーションの活用や信頼できる施工業者を選定することが重要です。
本記事で紹介したポイントを参考に、ご自身の住まいや環境に合った最適な外壁材を選びましょう。