外壁洗浄は自分でできる?業者に依頼する場合の費用相場は?

最終更新 : 2024.08.30

外壁を美しく保つだけではない!安全性を考慮した外壁洗浄のポイント_イメージ画像

外壁洗浄の必要性や方法について、外壁のプロが徹底解説します。

家を建ててから、あるいは外壁塗装をしてから10年近く経過すると汚れが気になってくる時期に差し掛かります。

コストをかけずに自分で洗浄できれば良いかもしれませんが、専用の道具がなかったり、そもそも時間がないといったこともあるでしょう。

本記事では、自分で外壁洗浄をする方法や必要な道具の紹介とともに、業者に依頼するメリットや費用相場についても触れています。

外壁の洗浄を検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

外壁洗浄はなぜ必要?

外壁洗浄の必要性と言われても、「汚れを落とすためじゃないの?」と思われるのではないでしょうか?

実はそれ以外にも外壁洗浄を行うべき理由があります。一つひとつ見ていきましょう。

美観の維持

これは当たり前といえば当たり前ですね。

日本ではホワイトやベージュなどの外壁が、建物に明るい印象や清潔感を与えることから人気となっています。

しかし、こうした淡い色は汚れが目立つのが欠点。

風雨や排気ガス、砂埃など汚れの要因となるものは無数にあり、放置しておくといつの間にか白い壁が黒ずんでいることも。

こうなると一転して清潔感が失われ、「寂れた」「古臭い」「汚らしい」といったネガティブな印象を与えることになります。

いつまでも美観を維持するためには定期的な外壁の洗浄が必要となるのです。

劣化の防止

外壁に付着した汚れやカビ、水アカなどは外壁の表面で化学反応を引き起こし、劣化を早める要因となります。

これらを取り除くことで外壁材の劣化を遅らせ、将来的な建物の寿命を延長することにつながるでしょう。

また、外壁の剥がれやひび割れなどが起こると補修には専門の知識や技術、道具が必要であることから業者へ依頼することになり、メンテナンス費用がかさむことになります。

塗装の前準備

外壁塗装は自分でできる?

外壁塗装を均一に行い、かつ塗料をしっかり定着させるには洗浄が必須の工程となります。

汚れが外壁材と塗料の間で膜を形成し、汚れの上から塗られた塗料は化学変化の影響を受けて色あせが早く起きたり、ひび割れの原因となってしまうのです。

外壁洗浄は自分でできる?

外壁洗浄を業者に依頼するとコストがかかるため、できることなら自分でやってしまいたいという方もいらっしゃるかと思います。

ここでは、外壁洗浄を自分一人でできるのかどうかをお話しします。

応急処置的な洗浄であれば可能

外壁洗浄についての知識や技術がなくても、いわゆる応急処置的な洗浄であれば十分に可能です。

例えば鳥のフンや車が跳ね上げた泥などが付いていたりするのに気がついたら、住人としては放置しておけませんよね。

このような、明らかに表面に付着しているだけの目立つ汚れであれば、自分一人でも問題なく洗浄できるでしょう。

しかし、外壁材のわずかな隙間などに入り込んでしまっている頑固な汚れは専用の洗剤や道具でないと除去できないことも多く、ヘラなどで無理やり剥がそうとすると外壁材ごと削り取ってしまうこともあるため要注意です。

足場なしは危険!高所は無理をしない

もし高所に気になる汚れがあったとしても、無理は絶対に禁物です。

プロの業者でも高所の汚れに対しては足場を組んで作業を行います。それだけ高所作業は危険ということです。

もし一般家庭で高所に登ろうとすると脚立や梯子を使うことになるかと思いますが、これらの使用はおすすめしません。

外壁洗浄では足元への意識がおろそかになりがちです。また、飛び散った水が足場を濡らし、滑りやすくなることも落下の危険性を高める一因となります。

もしどうしても高所の外壁洗浄を行うのであれば、自分が高いところへ登るのではなく、柄の長い道具を使うようにしましょう。ベランダや2階の窓から身を乗り出しての作業も絶対にやめましょう。

外壁洗浄を自分でする場合に必要な道具

外壁洗浄を自分で行う場合に必要な道具を紹介します。

高圧洗浄機(ケルヒャーなど)

ケルヒャーのような高圧洗浄機は誰が使っても確かな洗浄力を発揮するため、自分で外壁洗浄を行う場合の強い味方となってくれるでしょう。

ただし、威力が強いことの裏返しとして大量の水が飛び散るため、近隣に迷惑がかからないように十分気を付けましょう。

ブラシ・スポンジ

外壁に限らず、洗浄の道具の定番といえばブラシやスポンジです。

表面に付着している汚れであれば、ケルヒャーに頼らずとも専用の洗剤と併用してこすり落とせるでしょう。

防水性に優れた装備

  • 保護メガネ
  • 防水性の高い作業着
  • ゴム手袋
  • 長靴

外壁の洗浄中は汚れた水や洗剤などが跳ね返ってきます。それらが目に入ると危険なため保護メガネがほしいところ。

胴体の装備としては防水エプロンや厚手かつ長袖の作業着などを着用すると良いでしょう。

また、作業中に手を怪我したり強力な洗剤で手が荒れるのを防ぐためにはゴム手袋が必須です。

水は足元にも飛び散るため、長靴を履きましょう。

中性洗剤・外壁用洗浄剤

汚れの種類をよく確認して洗剤を選ぶようにしましょう。

雨だれなどの軽度な汚れは中性洗剤で落とせます。中性洗剤で落とせない頑固な汚れに対しては外壁用洗浄剤の出番です。

しかし、カビやコケは外壁専用洗剤でも落ちないことも。これらは生きた汚れであり、落としたと思っても根っこの部分が残っていれば再び繁殖します。

コケ用やカビ用の洗剤の場合は根元まで浸透させてから洗い流さなければなりません。作業全体の時間が延長してしまうため非常に厄介です。

養生シート

洗う必要のない場所を保護するためには養生することが必要です。

塗装用のテープにシートが付いているタイプのものが便利ですが、ブルーシートを布テープや養生テープで留めておくのでも構いません。

換気扇やエアコンの室外機などの水が入り込むとまずい場所は十分に養生するようにしましょう。

外壁洗浄の手順

外壁塗装の手順を解説_イメージ

外壁洗浄の流れを理解しておくと作業をスムーズに進めることができるでしょう。

無駄な手間を増やさないためにも、今ここでしっかりと確認しておきましょう。

状況の確認

外壁の汚れの種類や状態などを確認し、必要なものをひととおり揃えてから洗浄作業に臨むようにしましょう。

一番気になるのは汚れの状態だと思いますが、養生しなければならない場所の把握や、隣家にかかる迷惑を最小限にするためにはどうするかを事前によく検討しておくことが重要です。

周辺の養生

作業を始める前に必ず養生をしましょう。

道具を置く場所にはブルーシートを広げ、換気扇などには養生テープを使って、汚れや水気が入らないようにします。

隣家に迷惑がかからないように最大限の意識を払い、足元が絡んで転倒しないことにも注意が必要です。

機材の用意

機材の配置で意識することは第一に安全性、次に効率性です。

しゃがまなくてもすぐに手が届くからという理由で高い位置に高圧洗浄機やブラシなどを置くのは、落下の危険があるため控えましょう。

多くの場合長丁場の作業となります。体力のことを考えて、移動や往復が最小限で済むような道具の配置が理想です。

水洗い

ここから洗浄作業に入っていきます。

まずは外壁を水洗いします。汚れが軽微なものであれば高圧洗浄機だけで洗い流せる場合がありますが、洗剤が不要な場合でも保護メガネやゴム手袋といった防水装備を万全にして臨みましょう。

洗浄剤を使用する場合

水洗だけでは落ちない汚れがあった場合は洗浄剤を使います。

汚れの種類によって有効な洗浄剤は異なり、また洗浄剤によって必要な量や、塗布してから洗い流すまでの推奨時間などもさまざまであるため、必ず洗浄剤ごとの使用法を確認しておきましょう。

養生の撤去

洗浄作業が終了し一息つきたいところですが、養生を撤去する際に汚れた水などが保護していた場所に入り込んでしまっては意味がありません。

最後の養生を撤去し終えるところまでは最新の注意を払いながら作業しましょう。

外壁洗浄を自分で行う場合の注意点

外壁洗浄の注意点を解説

外壁洗浄を自分で行う場合の注意点について確認しておきましょう。

コーキングをはがさない

外壁のつなぎ目にはコーキングが施されており、水の侵入を防ぐとともに、外壁同士が干渉しないようにする役割があります。

このコーキングを誤って剥がさないように細心の注意を払いましょう。

もし既にコーキングが剥がれかかっていたりひび割れがある場合は、外壁洗浄は後回しにしてコーキングの補修を優先しましょう。

高圧洗浄機の取り扱い

高圧洗浄機進化を続けており、家庭用のポータブルタイプになると内臓電源があり、電気を引かずに利用できるものも登場しました。

簡単に扱える機器である反面、水に圧力をかけて汚れを飛ばすので、余計なものを巻き込んだり水圧自体で怪我をする可能性もゼロとはいえません

必ず安全を確認し、万全な装備で作業する必要があります。特に手袋、保護メガネ、防水装備・長靴は必須といって良いでしょう。

騒音

作業する以上は必ず作業音が発生します。

隣家にはいつ外壁洗浄をするということに加え、「音で迷惑をかけるかもしれない」旨を伝えておきましょう。

常識的な時間帯を設定し、「だいたい何時から何時の間に作業する」ということも伝えておくと、より親切です。

水はね

外壁洗浄の場合、騒音よりもこちらの方がトラブルの火種となりやすいかもしれません。

十分な養生を行い、細心の注意を払いながら作業しても水はねをゼロに抑えることは極めて困難なことといえます。

万が一水はねで隣家の住人や通行人に迷惑をかけてしまった場合はその補償を買って出るなど、誠意ある対応を心がけましょう。

外壁の種類別おすすめの洗浄方法

外壁材の種類によって洗浄方法は異なります。

ここでは、メジャーな外壁材であるサイディング、タイル、モルタルの洗浄方法を見ていきましょう。

サイディング

現代のほとんどの家の外壁にはサイディングが用いられています。

窯業系や金属系、木質系など素材によって微妙な違いはありますが、共通した特徴として、表面に塗装が施され防水性を保っています。

塗装が落ちると耐久性を失うため、ブラシや高圧洗浄機を使用する際は必要以上に力をかけないようにしましょう。表面が平滑なため、傷つけるのが心配ならスポンジで洗うのも良いでしょう。

関連記事:あなたのお家は大丈夫?サイディング外壁の再塗装とメンテナンス

タイル

タイルは耐久性や耐水性が高い外壁材です。メンテナンス性にも優れており、ブラシで強めにこすっても問題ありません

塗装しない素材なので、基本的には洗剤選びで神経質にならなくて良いのもポイント。しかしタイルの種類によっては色があせてしまう可能性があるため、事前に確認しておきしょう。

モルタル

コンクリート打ちっぱなしやモルタル壁の場合、家庭用高圧洗浄機程度の圧力なら問題ありません。

ただしある程度の圧力を超えるとはじけて飛んでくる可能性も。仕上げ面によってはブラシで強く洗うと表面が剥がれ落ちたりするため、まずはスポンジで洗って確認してから次の方法をとるのがおすすめです。

関連記事:モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

外壁洗浄はどれくらいのペースでやればいい?

外壁洗浄の時期をうかがう様子

まず結論として、1年に1~2回洗っておけば間違いないでしょう。このスパンで行えば、汚れが蓄積しにくく劣化を早める心配もそれほどありません。

自分でやるにせよ業者に依頼するにせよ相応の労力やコストがかかるので、最低でも年に1回洗浄すれば大丈夫です。

また、自分でやる場合は外での長時間作業になるため、夏や冬は避け、気温が20℃台で天候が安定している春や秋がおすすめ

業者に依頼する場合、春や秋は繁忙期で料金が割高になることもあるので少し時期を外すと良いでしょう。

外壁洗浄をプロの業者に依頼するメリット

外壁洗浄は自分でやる方法以外に業者に依頼する選択肢もあります。

ここでは業者に依頼する場合のメリットを見ていきましょう。

プロフェッショナルな仕上がりに

外壁洗浄のノウハウや技術を備えたプロが作業を行うので、自分でやるよりもはるかに短時間で、かつ綺麗な仕上がりになるでしょう。

洗浄の道具も日々進化しており、大手の業者であれば最新鋭の機材をいち早く取り入れているケースがほとんどです。

安全性と時間を確保できる

本記事で何度も述べているとおり、外壁洗浄には危険と不衛生が伴ないます。

業者に依頼することでこのようなリスクを避け、仕事や趣味など他の活動に時間を充てられるようになります。

目に見えない問題が見つかることも

外壁のことを熟知しているプロだからこそ、普通は気付かないような問題に気付てくれる可能性があります。

具体的には下記のような症状です。

  • 細かなひび割れ(クラック)
  • 塗膜の劣化や剥離
  • コーキングの劣化
  • 雨どいや排水設備の不具合
  • 外壁材の反りや浮き
  • 外壁内部への水分の侵入

ただし、本当は問題ないのに問題があったと報告し、不要な作業を勧めてくる悪徳業者もいるため、相見積もりをとった上で信頼できる業者に依頼しましょう。

保証やアフターサービスがある場合も

業者によっては保証やアフターサービスを設けている場合があります。

内容としては、汚れが残っていた場合に1年以内なら無料で洗浄してくれたり、洗浄作業後1年間は3ヶ月ごとに状態をチェックしに来てくれたりと業者によってさまざまです。

見積もりの時に確認してみると良いでしょう。業者からするとアピールポイントになるので、基本的にはHPの目立つところに「最長〇年保証!」のような形で掲載されています。

外壁洗浄を業者に依頼する場合の費用相場

外壁洗浄を専門業者に依頼する場合の費用相場を紹介します。

費用の決定要因となるのは主に面積と工数です。

下記ははあくまで参考ですので、目安としてお考えください。

施工方法1㎡あたりの相場
高圧洗浄100~300円
バイオ洗浄200~400円
足場設置600~1,000円
養生300~500円
※水道代家主負担

一般的な一戸建てがだいたい150㎡程度になるため、足場代も含めて15万円くらい~になると予想できます。構造や外壁の種類、状態によって大きく変わる可能性がある点には注意が必要です。

ちなみに汚れの原因がカビやコケである場合、これらの発生を抑えるバイオ洗剤を使う方法だと、費用が上記の1.5~2倍近く高くなる可能性があります。

まとめ

外壁洗浄はとても大切なメンテナンスのひとつです。

自分でやりたいという方もいらっしゃるとは思いますが、高所での作業が発生する可能性や衛生面などを考えるとあまりおすすめできません。

専門業者に依頼すれば手間をかけずに外壁を洗浄することが可能です。もちろん相応の費用はかかりますが、安全はお金で買えません。

プロが作業を行うことにより仕上がりも綺麗になるため、業者の活用を検討しましょう。