外壁塗装の、『塗料や塗り方』の種類とその特徴について徹底解説

最終更新 : 2024.09.13

外壁塗装は住宅の美観を保ち、耐久性を向上させるために欠かせない作業です。しかし、どの塗料を選ぶか、どの工法を採用するかによって、その効果や持続性、コストが大きく変わります。

本記事では、外壁塗装に使用される塗料の種類とその特徴について詳しく述べ、さらに塗料を選ぶ際の重要なポイント、外壁材に適した塗料の選び方、施工方法の種類とその違いなどについても解説します。

これから外壁塗装を計画している方にとって、最適な選択をするための参考になる情報を提供するので、ぜひ参考にしてみてください。

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外壁塗装の塗料の種類

外壁塗装の主な塗料の種類としては以下の9つが挙げられます。

  • アクリル樹脂塗料
  • シリコン樹脂塗料
  • ふっ素樹脂塗料
  • ウレタン樹脂
  • ラジカル制御塗料
  • 光触媒塗料
  • セラミック塗料
  • 無機塗料
  • ナノテクノロジー塗料

それぞれどのような特徴があるか見ていきましょう。

アクリル樹脂塗料

アクリル樹脂塗料は価格が手頃で施工が容易なため、短期的な塗装や予算を抑えたい場合に適していることが大きな特徴です。

耐候性や耐久性が他の塗料に比べて劣るため再塗装のサイクルが短くなりますが、発色が良く美観を重視する場所に適しています。また、環境に優しい水性タイプも多くあります。

シリコン樹脂塗料

シリコン樹脂塗料は耐候性と耐久性に優れており、コストパフォーマンスが高い塗料です。汚れに強く、長期間にわたり美観を保つことができます。

価格は中程度で、住宅の外壁塗装に広く用いられています。メンテナンス頻度を減らしたい場合や、コストと性能のバランスを重視する場合に適していると言えるでしょう。

ふっ素樹脂塗料

ふっ素樹脂塗料は非常に高い耐候性と耐久性を誇り、長寿命が最大の特徴です。防汚性にも優れておりメンテナンスの手間が少ないため、商業施設や高層ビルなどに多く使用されます。

価格は他の塗料と比べて高めですが再塗装の頻度が少なく済むため、長期的なコストパフォーマンスに優れています。

ウレタン樹脂

ウレタン樹脂塗料は柔軟性が高く密着性に優れているため、木部や鉄部など様々な素材に使用できます。価格は比較的手頃で施工がしやすいのも特徴です。

しかし、耐候性や耐久性はシリコンやふっ素樹脂塗料に劣るため、外壁塗装よりも部分的な補修や内部の塗装に向いています。

ラジカル制御塗料

ラジカル制御塗料は紫外線による塗膜の劣化を抑えるために設計された塗料です。耐候性が高く色あせしにくいという特徴があります。

シリコン樹脂塗料とふっ素樹脂塗料の中間に位置する性能を持ち、価格も中程度です。外壁の美観を長く保ちたい場合に適しており、住宅や商業施設で広く利用されています。

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光触媒塗料

光触媒塗料は光が当たることで汚れを分解する性質を持つ塗料です。自己洗浄機能があり、外壁を長期間きれいに保つことができます。

防汚性や抗菌性にも優れていますが、初期コストは高めです。メンテナンスの手間を極力減らしたい場合や、特に汚れが気になる場所に適しています。

セラミック塗料

セラミック塗料は耐熱性や断熱性に優れた塗料です。塗膜に含まれるセラミック微粒子が、外壁の温度上昇を抑え、夏場の冷房効率を高めます。

防汚性や耐候性も高く長寿命ですが、価格はやや高めです。特に温度管理が重要な建物や、高耐久性を求める場合に適していると言えるでしょう。

無機塗料

無機塗料は名前のとおり無機物を主成分とするため、非常に高い耐久性と耐火性を持ちます。紫外線や酸性雨にも強く、長期間にわたり塗膜が劣化しにくいのが特徴です。

価格は高めですが再塗装の頻度を減らせるため、長期的には好コストパフォーマンスと言えます。高耐久性が求められる建物に最適です。

ナノテクノロジー塗料

ナノテクノロジー塗料は、ナノ粒子を利用して塗膜の性能を向上させた塗料です。耐候性や防汚性に優れ、細かい粒子が塗膜の隙間を埋めるため、滑らかで強固な仕上がりとなります。

価格はやや高めですが、長期間にわたり美観を保ちたい場合や、特に厳しい環境条件下で使用する場合に適しています。

関連記事:屋根塗装にも寿命がある!?マイホームを長持ちさせる塗り替え時期と耐用年数

外壁塗装の塗り方の種類

外壁塗装の塗り方の種類としては、主に次の3つが挙げられます。

  • ローラー
  • 刷毛
  • 吹き付け

それぞれの工法について以下で解説します。

ローラー

ローラー工法は外壁塗装で最も一般的に使用される方法です。ローラーには様々なサイズや材質があり、塗装面の状態や塗料の種類に応じて使い分けます。ローラーを使用して塗料を塗布するため均一な塗膜が得られ、広い面積を効率よく塗装できるのがメリットです。

施工が比較的簡単でスピーディーに進められる点や、塗料の飛散が少なく周囲に汚れが広がりにくい点も魅力。一方、細かい部分や凹凸のある箇所には不向きで、そうした部分は後述する刷毛を併用することが多いです。

刷毛

刷毛工法は細かい部分や凹凸のある箇所を塗装するのに適しています。刷毛を使用することで、ローラーでは届かない隅々まで丁寧に塗料を塗布できます。特に窓枠やドア周り、細かな装飾部分など、精密な作業が必要な箇所に有効です。

刷毛には毛の硬さや形状にバリエーションがあり、塗料の種類や塗装面の状態に応じて選びます。刷毛工法の利点は、細部までしっかりと塗料を行き渡らせることができる点です。しかし、広い面積を塗装する際は時間がかかるため、通常はローラーと併用して使用されます。

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吹き付け

吹き付け工法はスプレーガンを使用して塗料を霧状にして塗布する方法です。広い面積を短時間で塗装でき、均一な塗膜が得られるため、大規模な建物や外壁の塗装に適しています。吹き付け工法の利点は、塗料の乾燥が速く、作業効率が高いことです。

また、塗膜が薄く均一に仕上がるため見た目も美しくなります。しかし塗料が飛散しやすく、周囲に塗料が付着するリスクがあるため養生が必要です。風が強い日や雨の日には適しておらず、天候の影響を受けやすい点も考慮する必要があります。

関連記事:仕上がりに影響を与えるの?外壁塗装の色見本の役割と問題点とは

外壁塗装の塗料の選び方

外壁塗装の塗料の選び方を紹介します。

  • 目的
  • 価格
  • 見た目
  • 耐用年数
  • 塗料の相性

各ポイントの詳細について以下で解説します。

目的

外壁塗装の塗料を選ぶ際の最も重要なポイントは、塗装の目的を明確にすることです。塗装の目的としては美観の向上建物の保護断熱性の向上防汚性能の強化などが挙げられます。

例えば美観の向上を目的とする場合は発色が良く、艶のある塗料が適しています。一方、防汚性能を重視するなら光触媒塗料やラジカル制御塗料が有効です。

断熱性能を求める場合はセラミック塗料が適しています。目的を明確にすることで最適な塗料を選ぶことができ、長期的な満足度を高めることができるでしょう。

価格

外壁塗装の塗料選びは予算に合わせて価格を考慮することが重要です。塗料の価格はアクリル樹脂塗料が比較的安価である一方、ふっ素樹脂塗料や無機塗料は高価であり、種類によって大きく異なります。

初期コストを抑えたい場合は安価な塗料を選ぶことも一つの方法ですが、耐用年数やメンテナンス頻度も考慮する必要があるでしょう。

高価な塗料は長持ちしやすく再塗装の頻度が少なく済み、長期的にはコストパフォーマンスが良い場合もあるため、予算と耐用年数をバランスよく考えて選ぶことが大切です。

見た目

外壁塗装の見た目は建物の印象を大きく左右します。塗料によって色や艶の出方が異なるため、希望する仕上がりに応じた塗料を選ぶことが重要です。

アクリル樹脂塗料やウレタン樹脂塗料は色のバリエーションが豊富で、鮮やかな発色が得られます。シリコン樹脂塗料やふっ素樹脂塗料は、艶やかで高級感のある仕上がりが期待できるでしょう。

また、光触媒塗料は長期間にわたり美観を保つ効果があり、汚れにくいというメリットがあります。見た目の仕上がりを重視する場合は、色見本やサンプルを確認しながら選ぶと良いでしょう。

耐用年数

塗料の耐用年数は外壁塗装を選ぶ際に重要です。耐用年数は塗料の種類や品質によって異なり、アクリル樹脂塗料は3〜8年、シリコン樹脂塗料は7〜15年、ふっ素樹脂塗料は12〜20年ほどとされています。

耐用年数が長い塗料を選ぶことで再塗装の頻度を減らし、長期的なメンテナンスコストを抑えることが可能です。

初期コストが高くても耐用年数が長い塗料を選ぶことで、結果的にコストパフォーマンスが向上する場合があるので、使用環境やメンテナンスの手間も考慮しながら選ぶと良いでしょう。

塗料の相性

外壁塗装の効果を最大限に引き出すためには、塗料の相性を考慮することが重要です。既存の塗膜や下地との相性が悪いと、塗料が剥がれやすくなるなどの問題が発生する可能性があります。

例えば、ウレタン樹脂塗料は柔軟性があり多様な下地に適応しやすい一方で、硬質な無機塗料は特定の下地に対して強力な密着性を示します。

同じ種類の塗料を選ぶことで相性が良くなり、長持ちする塗膜が形成されます。業者に相談して適切な塗料の組み合わせを選ぶことが重要です。

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外壁材の種類ごとのおすすめな塗料

塗料を選ぶ際は外壁材との相性も意識することが大切です。ここでは、次の3つの外壁材に合わせた塗料選びの方法について解説します。

  • モルタル外壁
  • サイディング外壁
  • コンクリート外壁

モルタル外壁

モルタル外壁は下地が比較的粗い特徴があるため、柔軟性があり密着性の高い塗料を選ぶことが重要です。ウレタン樹脂塗料シリコン樹脂塗料が一般的に適しており、これらの塗料はひび割れに対しても柔軟に対応できます。

耐久性とコストのバランスが取れているため、頻繁なメンテナンスを避けたい場合にもおすすめです。

またモルタル外壁は吸水性が高いため、浸透型の下地処理材を使用してから塗装を行うことで塗膜の剥がれや劣化を防げます。防カビ・防藻効果のある塗料を選ぶと湿気の多い環境でも長持ちするでしょう。

サイディング外壁

サイディング外壁は、工場で製造されたパネルを使用するため均一な表面を持っています。そのためシリコン樹脂塗料ふっ素樹脂塗料が特に適しています。これらの塗料は、耐候性と耐久性が高く、サイディングの美観を長期間保つことができます。

他にはラジカル制御塗料もおすすめで、紫外線による劣化を抑える効果があります。さらに、サイディング外壁は接合部が多いため、シーリング材との相性も考慮し、防水性能を高める塗料を選ぶと良いでしょう。色あせや汚れが気になる場合は光触媒塗料セラミック塗料も有効です。

コンクリート外壁

コンクリート外壁は耐久性が高く強固な構造を持っていますが、表面に細かなひび割れが生じることがあります。ウレタン樹脂塗料無機塗料などの塗料を使えば、コンクリートの微細なひび割れにも対応でき、長期間にわたり保護効果を発揮します。

無機塗料は特に耐久性が高く、メンテナンスの頻度を減らすことが可能です。コンクリートは吸水性があるため、下地処理として防水性の高いシーラーを使用すると塗膜の耐久性が向上します。防汚性や防カビ性能を求める場合は光触媒塗料を選ぶことも有効です。

関連記事:外壁塗装にふさわしくない月とは?理由と時期を選ぶポイントを紹介

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【塗料の種類別】外壁の耐用年数

外壁塗装の塗料の種類によって耐用年数が異なります。先ほど紹介した9つの塗料種類の耐用年数を表にまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

塗料種類耐用年数
アクリル樹脂塗料3〜8年
シリコン樹脂塗料7〜15年
ふっ素樹脂塗料12〜20年
ウレタン樹脂5〜10年
ラジカル制御塗料8〜16年
光触媒塗料10〜20年
セラミック塗料10〜25年
無機塗料10〜25年
ナノテクノロジー塗料10〜15年

上記はあくまで目安であるため、必ずこの年数に当てはまるわけではありません。気象条件や周囲の環境、その他の外的要因で長くなることも短くなることも考えられます。

【Q&A】外壁塗装の種類に関するよくある疑問

Q1.塗料とペンキの違いは?

ペンキは色を塗ることに特化している一方で、塗料は塗った先の耐久力や断熱性を高めたりといった色を塗るという主目的以外の機能を持っている場合が多いです。

Q2.手塗りと吹き付けでどう違う?

外壁塗装における手塗りと吹き付けの違いは、施工方法や仕上がり、作業効率などにあります。手塗りはローラーを使用し、細部や凹凸部分を丁寧に塗ることが可能です。

塗膜が厚く耐久性が高いため、防水性能が求められる場所に適しています。塗料の飛散が少なく、周囲への影響も少ない一方、作業には時間がかかるため、大規模な面積の塗装には効率が低くなります。

吹き付けはスプレーガンで塗料を霧状にして塗布する方法で、広い面積を短時間で均一に塗装でき、非常に効率的な作業が可能です。仕上がりは薄く均一で美観が高いのが特徴ですが、塗料の飛散が多く、風の強い日や雨の日には適していません。

また、細部や凹凸部分には向かず、手塗りを併用することが一般的です。手塗りは丁寧な仕上がりと耐久性、吹き付けは効率と美観に優れており、塗装の目的や場所に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。

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まとめ

外壁塗装の成功は適切な塗料選びと施工方法にかかっています。塗料には多種多様な種類があり、それぞれに特性やメリットがあります。耐用年数や目的、価格、見た目、相性を考慮して選ぶことで理想の仕上がりを実現できるでしょう。

また、外壁材に適した塗料を選ぶことやローラー、刷毛、吹き付けといった塗り方の種類を理解することも重要です。

この記事を参考に外壁塗装の計画を立て、長期的に美観と耐久性を維持できる外壁を手に入れましょう。